SPIRAL GAME

Daiana

第1話 SPAIRAL

「じゃあ、また明日ね。しーくん」

「ああ、じゃあな夢乃」


 しーくんこと俺、紫宮羽黒しのみやはぐろは近くに住む、幼馴染の高嶺夢乃たかみねゆめのをいつも通り、を学校から夢乃の家まで送っており、ちょうど彼女の家まで着いたとこだった。ちなみにしーくんのあだ名は俺の名前が紫宮だからと夢乃が初めて俺と会った時にそう呼んだからだ。


 夢乃と羽黒は幼稚園児のときから現在の高校2年生まで共に過ごしていおり、腐れ縁だ。そのせいか、毎日俺があいつの家まで送って帰らなくちゃいけない羽目になっているんだが。


 そんなわけで今日もいつもと同じように姫乃を家に送り、自分も足速に帰宅するという日課が終わっていく。




 はずだったんだ―




 突然、爆音と共に大きなライトが俺の周りを照らす。振り返ると、道路の脇から猛スピードで車がこちらの方へ走ってきていた。


「あっ」


 俺は一瞬でこの状況を察した。あたりは真っ暗でここは人通りが少ないため誰もいない。だから当然車通りなどほとんどなく………


(この車、俺の方に突っ込んでくるな。何とかして逃げないと………)


 俺は突き当たりの道を曲り、家までの近道へと全速力で向かう。

 案の定、先程の車が俺の曲がった角を曲がり猛追してくる。


(くそっ、あと少しで車が通れない道に出られるんだ。それまでは何としてでも逃げないと。それにこんなとこで俺の人生終えたくないんだよ。転生するやつでももっといい終わり方だったろうが)


 必死に逃げ続け、俺はやっとの思いで家のすぐそばの道にきた。念のため、車の位置を確認する。


(流石にここまで来れば問題なさそうだ。)


 路肩に俺を追っていた車が停車していた。

 すると、中から黒いサングラスをした男が数人出てきて、携帯を取り出しどこかへ電話をかけ始めた。多分、逃したとかいう報告だろう。


(ひとまず大丈夫そうだ。このままあいつらが諦めて帰るまでここに隠れておこう)


 そう安堵のため息をついたその瞬間だった。


「………!?」


 何かが身体に触れた瞬間、バチンという音と共に強烈な痛みが身体中に疾った。状況が全く理解できないまま、俺は地面に倒れ込む。痛みで身体が動かない。意識が朦朧とする中で俺を襲った奴が誰なのかを確認する。そこにいたのは、先程のサングラスをした男たちと同じ格好の男だった。


(まさか、車は全部囮で裏でずっと待機してる奴がいてそこまで俺を誘導したってことか………)


 何一つ対抗することが出来なかった俺はそのまま意識を失った。
















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