第200話 春日山城にて

 春日山城にて。


吹雪が止み、ようやく春日山城を出発しようとしていた時。


使者がやってきた。


その使者は、全身雪だらけになって、白い雪を吐きながら、深刻な顔で声を出した。


「葛山城が……」


使者は、言葉を詰まらせた。


「なんだ。早く言え」


景虎が使者にそう言うと、使者は重たい口を開けた。


「葛山城が落城しました」


「くっ、遅かったか……」


春日山城に動揺が広がった。


好花は、へたりと床に倒れた。


「落合さんは?


梓さんは?」


定満が青ざめて使者に聞いた。



「落合さん、小田切さんは討死。


梓さんは、崖から身を投げたとのこと」


「梓さん……」


好花の目からは涙が溢れ出した。


景虎たちは、みな、悔しそうに下を向いたり、唇を噛んだり、ぼぉーっと途方にくれたり、涙を流したり。


みんなで、葛山城を一緒に作ったことや飲み会をしたことを各々、思い出していた。


「梓さん、ごめんね、助けにいけなくて」


好花は、泣きながら呟いた。




葛山城は、馬場の手によって、落城し、武田信玄の支配下に置かれたのだった。

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