第159話 大熊朝秀

 長尾政景は、春日山城に戻った。


「おぉ!


政景様!


おつかれさまでした!


あれ? 景虎様と好花様は? もしかして、説得に失敗?」


景家さんがニヤニヤしながら、政景に問いかける。


「なわけ。でもね、景虎さんたちは、しばらく帰ってこない。わけありで」


「政景さん。そんな流暢なこと言ってられない状況なんですよ今」


「定満さん、どうしたんですか」


「あのですね、大熊朝秀が謀反を起こしました」


「え!?


それ、かなりまずくないか?


この景虎様不在の状況で謀反は」


「そうなんだよ。


でも、逆にチャンスなのかもしれないな」


「なぜ?」


「ここで、俺たち家臣が団結すれば、景虎様は、戻ってきてくれるかもしれん」


定満は、腕を組んで、真剣な顔をした。


「俺だって、景虎様と好花ちゃんに戻ってきてほしいもん!


敵、倒しまくって、斬りまくって、勝つもんね!」


弥太郎は、定満に向かって、にこにこ笑顔でピースをした。



「よし! ここが団結するときだ!


名付けて、


『誓うぞ! 景虎様に忠節を』


だ!」



「おー!!!」


こうして、大熊に対して、景虎の家臣たちの対抗が始まったのだった。








筆者の戯言


大熊氏は上杉家が越後守護として入国して以来の家臣だったんですね。


景虎の父、長尾為景が主家の上杉氏と対立したとき、大熊政秀(朝秀の父)は上杉方について戦いました。



しかし、朝秀は父の死後上杉家を見限って長尾家へ寝返り、景虎の越後統一を成功させたんですよ。



いわゆる功労者ですね!



そんな功労者が謀反とは。


悲しき時代です。


謀反の理由、次回分かるかもしれません…!


お楽しみに!

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