越後の龍上杉謙信と戦国時代をこよなく愛する女の物語

第84話 地図

　お待たせしましたっ！

景虎一向が堺にいた時に戻ります！

「景虎様、本当に三好長慶殿に会うつもりですか！？」

「そうだ」

「わ、わかりました。しかし、この文には景虎様一人でお越しくださいと書いてありますぞ？」

「一人で行くつもりだぞ」

「ええ！！

せめて、弥太郎だけでも」

本庄実乃は、弥太郎の背中を押して、景虎の前に出す。

「いやいや。弥太郎なんて来たら斬りつけ合いに来たのかと見間違われるぞ」

「やー、しかし」

「俺は軍神だぞ？

俺を倒せる相手などおらん」

好花はにやける。

「好花。にやにやして。どうせ、俺のことまたバカにしてんだろ？」

「してないよぉ」

好花はニヤニヤが止まらない。

「じゃ、好花は連れていこ」

「え！　うち一緒に行っていいの！？」

「おう。まぁ、お前1人きてもただのお世話係りとしか思わんだろう。

いまだけ、女になった方がいいかもな。

女の方が怪しまれないし。

ま、安心せい。

好花のことは俺が守ってやるから」

好花の鼓動はなっていた。

それは緊張というよりも景虎の2人で境を歩けるという嬉しさ。

そして、今の言葉。守ってやるから　の言葉に好花はきゅんきゅんしていたのだった。

「景虎殿、これが待ち合わせ場所です」

近衛晴嗣から渡された地図には、待ち合わせ場所に印がついていた。

「では、いってらっしゃい」

こうして、景虎と好花は2人で敵である三好に会いに行ったのだった。