第80話 堺 東洋のヴェニス

「堺つきましたよ!」


近衛晴嗣が声をかける。



「うわー!


すげぇ!


たくさんの船がある!」


弥太郎が声をあげると、近衛晴嗣が話す。


「あの船たちは、外国船ですよ。


あれは、ポルトガル船。


こっちは、スペイン船、


あれは、明で、そこにあるのが、朝鮮で……」



「世界中の都市と交易しているんだな」





「堺は、この当時の日本最大の国際商業都市って聞いたことあります!」


好花は、目をキラキラさせながら、港を見ている。



「この間、堺に訪れていた宣教師が


堺のことを『東洋のヴェニス』


と話していました」


「晴嗣殿、知り合いが多いのですな」


「知り合いというか、職業柄、人と接するのが多いだけですよ」




「たしか、この堺って、大和(やまと)川、和泉灘(大阪湾)を活かし海運を作り、発展してきたんですよね?」


「そうですよ。


さすが細川藤孝さん。


よく知っていますなぁ」




「では、三好長慶殿に会いに行きますか!



景虎殿」


「おう。よろしく頼みます」

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