第61話 生なれすし

景虎達は、町屋の一つの店に入った。


「いらっしゃい!」


店員が威勢よく挨拶をする。


「鯖の料理ありますか?」



「ありますよ。


『生なれすし』が当店の1番人気です」


「じゃ、それお願いします」



「かしこまりました」








「鯖が有名って言ってたけどさ、若狭から、京までかなり時間かかるやん?


鯖、腐らないのかな?」



好花の質問に、朝信が答える。



「腐敗を防ぐために、鯖を塩でしめてるんです。


そうすると、京に到着する頃には丁度良い塩加減になっているらしいですよ」



「なるほどね!」





「お待ちどうさまです。


生なれすしになります」


寿司というよりは、押し寿司に近いような見た目。



景虎が一口食べる。


「うまい」


弥太郎も一口ぱくっ。


「うまー!!!」



鬼小島弥太郎は、笑顔で叫んだ。



よほどお腹が空いてたのかぱくぱく食べている。




「上品で熟成された香り、抜群の塩加減、


これは、最高ですね」


実乃は、感嘆の声を上げる。




「これは、どうやって、作っているんですか?」


朝信は、店主に聞く。



「まず、ふたをして重しを置きます。


こうすることで数日で飯に酸味が付き、美味しくなるんです」



ふふぅーん。なるほどね。


おそらく、現代の「箱寿司」とか、「押し寿司」の原型が生なれすしらしい。




寿司が日本で食べ始められたのが江戸時代だったから戦国時代には、あの回転寿司で回っているような寿司はないはず。



押し寿司は、戦国時代から食べられていたのか。と好花は思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る