第53話 善光寺②

戦国の世。


当時、お寺に女が参拝することはできなかった。


しかし、この善光寺だけは違っていた。


『遠くとも一度は詣れ善光寺』


『牛に引かれて善光寺参り』


と言われるほど、多くの人が参拝に行った。



『一生に一度お参りするだけで極楽浄土が叶う』


とも言われていた。




「実は、好花と一緒にお寺にお参りに行きたいと思っていたんだ」


「そーなん?」


「うん。でもさ、お寺って女は参拝できないっていうきまりがあるやん?」


「今はあるね」


「だからさ、この善光寺を手に入れれば、好花と一緒にいつでも参拝できるじゃん!って思ったわけ」


「あー、たしかに」


「だから、俺、絶対信玄に勝つわ」


「うちのために戦するってこと?」


「大義名分は、村上義清などの信濃の武将の助けに応じるため。


でもここだけの話、


善光寺だけは、なんとしても手に入れたい」


「景虎さ、かわいいとこあるな。


ありがと」



好花は、照れていた。


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