第41話 村上義清

「景虎様ー! またまた訪問客ですぞ!」


「またか? 上杉憲政様に続いて誰だ?」


「そ、それが村上義清なんです!!」


「え!? あの信濃の武将の!?」


「そうなんです」


「まぁ、いい。とおせ」


村上義清という男が、春日山城にやってきた。


馬に乗り、鎧をつけて。



「景虎殿。



恥は重々承知です。



どうか、この村上義清に



援軍をお頼み申し上げたく参った次第であります」


優しげなまなざしの男が村上義清であった。




「おい、あの男、信濃と越後国境で、今までに幾度と領地の取り合いをしてきたやつですぞ!?


なんであの男が春日山城にくるんだ?!」


本庄実乃は、こそこそと景虎に言い寄っている。


本庄実乃は、怒っている。なんで、どいつもこいつも、こうも都合よく景虎様を頼るんだと。



「実乃。風呂とご飯を用意せい」


「ええっ! いいんですか? 上杉様はともかく、村上義清は敵ですよね!?」



「まぁまぁ、落ち着け。実乃。


俺は毘沙門天の化身だからな。


助けを求める者には、手を差し出す



ただそれだけだ」



「もー。景虎様は優しすぎですっ!」


実乃は、怒りながらも風呂とご飯の支度をみなに指示した。

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