第8話 鬼小島弥太郎

「そろそろ、宴会に行きましょうか」


綾が笑顔で言った。早く行きたいみたいだ。


「私なんかが長尾家の夕食にお邪魔していいんでしょうか。着物まで貸していただいてその上ご飯までなんて……申し訳ないです」


「みんな大歓迎ですよ! 景虎様も早く会いたがっていますよ。ふふふ」


綾、お華、私の3人で宴会に向かった。


「おぉ!! きたきた!! かわいいお嬢さんがきてくれたぞ!」


バカでかい声で話したのは鬼小島弥太郎(おにこじまやたろう)。


鬼小島弥太郎は、実在か架空の人物か定かではない武将だ。


上杉家家臣の中には優秀な武将がたくさんいた。


その家臣の中で1番有名で数々の華々しいエピソードが残っている人気の武将が


鬼小島弥太郎


である。


強力無双の豪傑で


「鬼小島」と恐れられたといわれるが、


上杉氏の軍役帳や名簿に


記載されてないんよね!


実在したかどうかを疑われている。


鬼小島のエピソードも派手すぎるのよ。


伝説級の話ばかりよ。



それも疑われている理由の一つだ。



ちなみに、


上杉家中には、「小島」という姓を名乗る人物が数多く存在していた。そこから、創作したという説もあるんですよね。


ちなみに、鬼小島弥太郎戦地の地は、


新潟県 長岡市 栃尾 大野町の天神山に残っている。


そして、弥太郎の墓とされるものが、長野県飯山市の英岩寺にある。



伝説では、弥太郎は乙吉城主(長岡市)であったとされる。


永禄4年、川中島の戦いで深手を負い、越後へ向かう途上の飯山で落命したと伝わっている。







鬼小島の説明が長すぎた。すみません。


そんな鬼小島が目の前にいるなんて!


がたいが良すぎて、絶対に敵わないと思った。ま、当たり前か。動物も怯える鬼小島弥太郎だもんな。



「好花と申します。よろしくお願いします」


「よろしくな!」


弥太郎、なんかチャラい。想像と違うなー。怖いイメージだったんだけど、なんかチャラい。


絡みやすくていいけど!


「あ、ちなみにこいつ、熊でも倒せちゃうキン肉マンだから」


景虎が鬼小島弥太郎を指差して言った。


「はい?


うそですよね?


弥太郎さん」


「いやー、好花さん。それが本当なんですよね。


ついこの間、戦に出かけていたら途中の山道で熊に遭遇しましてね。


うわ、やばい! と思ったら、弥太郎が熊と向かい合ってて。


へ?


と思ったら、熊と相撲をとりだして。


んで、熊をほん投げて、熊は意識を失い、勝利してしまったのですよ」


そう話したのは、ダンディーな叔父様。


その話を聞いて、みんなは大笑いをした。


「あ、私、宇佐美定満と申します。よろしくお願いします」



きたー!いけめんおじさま!


ダンディーというか、紳士というか!

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