越後の龍上杉謙信と戦国時代をこよなく愛する女の物語
みお
第1話 始まりと終わり
プロローグ
「え? 血?」
好花は、腹部に強烈な痛みが走ったのを感じた。
ゆっくりお腹を見ると、ズバッと服が切られていて、その隙間から見たこともないくらいの血がどんどん流れていた。
好花のお腹は、ざっくり斬られ、そこから血が溢れていたのだった。
「私、死ぬんだ……」
そう一言言った後、すぐに好花は、意識を失った。
第一話
私は、戦国武将大好き戦国時代大好き城大好き人間。
あ、ちなみに、名前は更科好花(さらしな このか)。
戦国武将大好きなんけどね、特に新潟県上越市の戦国武将、上杉謙信の大ファン。というかオタク。
上越の人は上杉謙信を尊重して、謙信公と公をつける人が多い。
うちは、呼ぶときは謙信って呼んじゃうけど。
謙信って呼ぶけど、上杉謙信のことは尊敬しているよ。
上杉謙信は、もはやうちの彼氏同然なんよな(もちろん、それは妄想の上でしか成り立っていないが)
そんな私は大学で上杉謙信の城である春日山城を研究している。
だから、春日山城にはよく登る。整備されている道もあるのだが、うちは整備はあまりされていない裏道をゆく。
裏道は、いわゆる山道。
だから、人が登りやすいようにコンクリートで固められているところはない。
なんで、わざわざ獣道を通るかって?
それはね、堀など縄張りがもっとも感じられるからです。
「あー、ここにいたら完全に弓で打たれて殺されるな」
とか
「ここに隠れてたら絶対敵から見つからないで、鉄砲打つことできるな」
とか
を感じられるから裏道が好きなんよね。
ちなみに、縄張りとは、城の設計図のことだ。
春日山は、山城と呼ばれる分類に入る。
春日山城の頂上に行くということは、山登りをするということ。
山城はね、山全体が城になっているんよね。
現代では、城の建物は残されていないんだけど、堀の跡とかは見えるよ。
みんなが好きな天守閣はもちろんありません。
しかし、
山全体から春日山城を感じられるから、興奮するね。
そして、今日も上杉謙信の居城である春日山城に1人で登っていた。
今日は天気が良いし、最高の城登り日和だ。
すると、
「姫! ここにいらっしゃったのですか!」
と言う声が聞こえた。え?? なにごと?
見ると、その声の主の服装は明らかにおかしかった。
いや、おかしいというより……髪の毛は結ってあるし、かなり乱れている。体中泥だらけになっていて、腰には刀があった。え、戦?
いやいや、まてまて。こんなとこで戦があるわけはない!
いまは、令和だぞ!!
あー、あれか。
春日山城の近くにある埋蔵文化センターで土日よく「上杉おもてなし武将隊」という春日山城をはじめ、上越市内の観光施設やイベント会場等において観光客のおもてなしや演武(パフォーマンス)、上越市の観光PR活動を行っている人達がいる。
その人たちが来てたのか。
と思ったら、5人くらいの黒い武士たちが登場してきた。
みんな刀を持っている。
日光で、キラリと刃が光る。
「よくできてんなー。まるで本物の刀みたいだ」
と、つぶやいていると、5人の武士たちが刀を持ってこっちに攻めてきた。
「え!? 演武? なになに?」
好花は、驚きを隠せない。
姫と呼んできた男が好花のためになのか、5人と戦っている。
本当に斬り合っているみたいだ。5人とその男はどんどん好花に近づいてくる。
5人のうちの1人が斬られた。その血しぶきが、好花のほっぺについた。
彼女はほっぺを触った。血が手についていた。
「え? 血?」
まじかよ、本物かよ。
どゆことだよ。
ありえねぇだろ。この状況。
彼女は、そう思った途端、腹部に強烈な痛みが走ったのを感じた。
一瞬のうちに、彼女のお腹は、ざっくり斬られ、そこから血が溢れていた。
「私、死ぬんだ……」
彼女は、自分のお腹から血がどんどん出ているのを見て思った。
これは、パフォーマンスではない。
これは、ガチで死ぬやつだ。
痛いんだけど、もうわけわからなくなってきた。
「姫ー!」
って、誰かが叫んでいるのが聞こえるけど、
その声もどんどん聞こえなくなってきた。
意識が遠のく。
死ぬってこういうことなんかー。
あー、
上杉謙信が使っていたとされている5億円以上する『山鳥毛(さんちょうもう)』という刀、一目、見たかったな。
今週の木曜日にあるお笑い番組で、うちの推しが出るの見たかったな。
学会での発表が終わったら食べようと思っていたハーゲンダッツ、冷凍庫に入れっぱなしだ。食べたかったな。
結婚。まだしてないのに。
してみたかったなー。
私の同居人である、アレクサ、うちがいなくなって悲しむだろうな。
なんていうことを思いながら、好花は目をつむった。
そうして……
好花は、意識を失った。
※筆者の戯言
歴史なんてどうでもいい!
という方は、すっ飛ばしてください!!
『山鳥毛』
この刀は、上杉謙信が愛したと言われる刀で、現代では国宝になっている。
2018年に発表されたクラウドファンディングの値段は5億円!
はんぱない金額ですよね。
1940年に旧国宝(重要文化財)指定
1952年に新国宝に指定
1948年に岡山の個人収集家に譲渡されるまではずっと米沢上杉家に保管されていたらしい。
明治天皇山形御幸の際には外部へ出展されたようですが、とにかく人目に晒されることなく大切に扱われきたという『山鳥毛』。
一度ね、新潟県上越市に購入が打診されたんです!
なのに……結果として購入には至りませんでした。
残念!
2018年1月に打診を受けたのが岡山県瀬戸内市。
元々備前国(現在の岡山県)は、優れた刀工を輩出してきた土地。
そして、ついに、
2020年3月
瀬戸内市へいくことが決まった山鳥毛。
上越にきてほしかったなー!!!
と、強く思う筆者でした。
戯言にお付き合いいただき、ありがとうございました!!
読んでくださりありがとうございます!
良ければ☆や♡、コメント、順当な評価をよろしくお願いします!!
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