第15話『交錯する思い』

 D天満宮を目指した。片道2時間くらいかな。いろいろ考えはしたがスマホはないし、ここがベストかなと思った。「おい、古賀、僕、変わったかな?」「ぜんぜん、相変わらずのバカだ」「おまえね~降ろすぞ」「だって田中さんがやさしくなったと言ってくれたよ」「だからバカなんだよ。社交辞令だよ。感じわるくなったなんていうか?」「そうだな」女の子ふたりは大笑いしている。「古賀、このふたりは注意したほうがいいぞ、降ろすか?」「あとおまえとふたりでなにするんだよ」「それは……お参りだよ」「なにを?」「おまえといつまでも友達でありますようにってね」「山口、おまえ……バカか」「アハハッ」本当は古賀はうれしかった。古賀「学問の神様で恋愛成就とは聞いたことないぞ」「ねえ」と女性陣に話を振った。田中さん「恋愛成就のお詣りにいくんですか?古賀さん好きな人いるんですか?」「好きな人というか世界平和を望んでいて……」私「いるよ。こいつ、本気だよ」「え?」女性ふたりは見つめ合って……そして少し笑った。私「なんで笑うんだよ。君らにひとの恋愛を笑う資格あるのかよ」古賀「やめろ、楽しいのが台無しになる」「……ごめん、おまえ本気だから、つい」坂口さん「わたしたちの方こそごめんなさい。あの、そしたらふたりのうちどちらかなと思ったらはずかしくなって笑ってごまかしました」「僕の方こそごめん。今日はそういうのなしでいこう。4人でまた行きたいと思えるようなデートにしよう」「賛成、賛成、賛成」「よし、とばすぞスバル」

 場の雰囲気は元に戻った。しかしただのデートでは終われない4人だった。

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