第14話『初デ―ト』

 父はスバル360に乗っていた。スバル好きは遺伝だった。あとZippoを10数個所有していた。これは私が子供の時父の机の引き出しから見つけた。あとサングラスを愛用していた。これらの愛着はサングラスを残して晩年はなくなっている。

 髪にはグリースをつけ、チノパン、半袖シャツ、靴はローハ―、サングラス、これでスバルで出発した。最初に坂口さんのお友達の田中初実さんを拾った。「田中さん、おはようございます」「おはようございます」「山口さん、かっこいい」「またまた、田中さんこそワンピース似合ってますよ。勝負服?」「あははは、違いますよ」この子もかわいい。次は古賀だ。ナビ代わりに田中さんには隣に座ってもらった。「最近、山口さん変わったっていわれてますよ」「え! どうして?」「やさしくなったって」「前はひどかった?」「怖かった」「前の山口さんだったら今日来てない、ごめんね」「そう、こちらこそごめんなさい」ヤクザな血は流れていた。実際、親類にもヤクザがいる。天井の裏には短刀が隠されていた。旧家はまだ残っておりまだあるかもしれない。古賀の家へと進んだ。見たことのある道をすすんだ。この道にコンビニ、ス―パ―、パチンコ屋、飲食店などがあれば現在とそう変わりない。古賀が外で待とっていた。

 左腕には今日の日のために買ったTheCITIZENが光っていた。最後までグランドセイコ―と悩んでいたが僕が一言グランドセイコ―おじさんくさくないと言ったことで決断したらしい。そんな自分はOMEGAを付けていた。それでは次が坂口さんだね。坂口さんは駅まで出ますのでお願いします。とのことだった。だろうね。国家プロジェクトだもんね。GPSがあるか知らないが今日一日の行動はつつぬけだろう。坂口さん、なんかかわいそうと思った。「はいはい、いましたよ」

「おはようございます、初実おはよ」意外だった。ジ―ンズ、Tシャツ、ネルシャツ、スニーカー、ピアスの出で立ちだった。

日頃との格差にまいってしまって古賀を見たら目がハ―トになっていた。

 今回のことは坂口さんには話している。自分なんかもったいないと言った。謙虚さが美しさを倍増させているのは間違いない。本当にその場で抱きしめたくなった。我慢したけど。50歳だから我慢したけど35歳だったら無理だよ。酷なプロジェクトだよ。本当に。それと坂口さんが3角関係を理解できているのか疑問があった。私としては坂口さんも古賀も失いたくないという身勝手なものだった。

 しかしこのデ―トで4人の関係はドラスティックに変わることになる。

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