第7話(50歳)
お金の大切さはいつ、どこで、だれに学ぶ?
私には借金がある。300万円。私の収入ではもう、本当にどうにもならない。
始まりは15年前。当時の会社の上司と天神で待ち合わせをした。
「すいません。遅れました」と携帯から私。彼女との待ち合わせに遅れたことがあって凄くお叱りを受けたことがあったので気がきではなかった。
「はいよ。パチンコ店があるでしょ!中に来て」
パチンコ店とか入ったことがないので恐る、恐る入った。とにかくうるさいというのが第一印象だった。
「はい、お疲れ。隣に座って」と上司。
「はい」、どうすればいいかわからない。
「とってを回すのよ、ここを狙って」
「はい」
彼女の台からはパチンコ玉がどんどん出てていて玉の入った箱が積まれていた。ご機嫌だ。
しばらくすると画面が金色になって私が座った台からもパチンコ玉がどんどん出てきた。
彼女は「この台もでると思ったのよね!」
と上機嫌。
私は玉がでるからなんだっていうのだろう、思った。台で映し出される初号機とかのアニメも知らないし、うるさい。ギャンブルはいけないこととの認識もあったので早く店を出たかった。
上司が「飲みに行こうか」と言った。パチンコが終わったのだろう。上司は私の台のも合わせて慣れた仕草で換金した。
12万円、彼女は受け取った。12万円!驚いた。そのうちの1万円を私に手渡し「今日は好きなもの何でも食べていいわよ」と何気なく言った。
12万円。これがビギナ-ズラックというものだろう。念のため言っておくがこの経験は私のそれからの人生に彼女は全くの無関係だ。ただパチンコがなければ私の人生はもう少しましなものになっていただろうと思う。
パチンコさえなければ……止めることができれば……地獄の始まりだった。
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