第6話 『モグ』ショートショート

 【このお話しには私の気まぐれでショートショートが語られるときがある】


 モグはメスで血統書付きのチワワである。

 これは彼女の恋の話。

 

 飼い主と散歩してあげてる時に何度かすれ違ったことがあった。気にはなっていた。しかしプライドが邪魔して話しかけることができなかった。

 名はトラ。雑種だ。体格がよく眉毛の横にほくろがあった。このエリアは彼のしまだった。もとは流れ者らしい。いつも2~3匹の手下を連れていた。野良犬なので彼らが通ったあとはうんこがほったらかしになっていた。一応後ろ足で土をかける仕草はするがあまり意味はなかった。

 しかしモグはその自由さに憧れた。その憧れの象徴がトラであった。リ-ドが邪魔だが思いきって話しかけてみた。

「ワンワン」(おっと失礼)

「こんにちは。ご機嫌よう。」とモグ。

「こんにちは。お嬢さん」とトラ。

 挨拶から始まったふたりの愛は加速装置なみに、む?どこかで使ったかな?進んで行った。

 モグのなかでは結婚を夢見ていた。

トラもまんざらではないようにモグは感じていた。


 突然、トラとの連絡が途絶えた。モグはトラの手下にトラがどこに行ったのか聞いた。

「トラさんはどこなの?」

「兄貴はいないよ。旅にでなすった。」と手下。

「旅! 何も聞いてない」モグは必死だ。

「ねえさん、兄貴と所帯もとうなんて考えていたんじゃないですよね?」

「……」

「兄貴は、それを恐れた。自分の気持ちも恐れた。兄貴とねえさんが結婚して子供が出来たら血統が途絶える。雑種の厳しい生き方を子供にさせたくない。そうおっしゃたのよ」

「ねえ、これってモニタリングじゃないわよね?」モグは必死だ。

「アホか、違うわ。わしら犬やど」

「トラさん、どこに行ったのかな、あ~あ、帰って缶詰たべよう。結婚相手は飼い主にイオンモールで買ってもらおう」

 そうして私たちはイオンモールに引きづられていった。


                 おわり




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