第4話 スナック
「いらっしゃいませー。」
この店で働くようになって5ヶ月。自分のお客さんも増え、アキナはスナックでの仕事が自分に向いてると思い始めていた。欲しかったアップルウォッチはすぐに手に入った。SNSに化粧品が無くなったと投稿すると必ず買って来てくれるお客さんがいる。
アキナは、自分の何がお客さんを夢中にさせてるのかをわかっていた。無邪気さと露出度の高い服。幼さと色気とのギャップ。そしてこの先を期待させる態度。
アキナは自分の魅力という餌に男がかかるのを楽しんでいた。〝男はみんな私の虜になる〟
もう夏だね。そんな会話が多くなってきた頃、1人の男が店に来た。初めて見るお客さんだった。「カウンターどうぞ。」アキナは笑顔で席を引いた。男は高額なお酒が並ぶメニューを見るとオールドパーのロックをオーダーした。アキナは男の隣に座った。お店に入ってきた時は気付かなかったが、男の横顔はハンサムだった。〝40才くらいだろうか〟
男は出張でこの街に来たと言った。落ち着いた雰囲気。左手薬指の指輪は奥さんを大切にしていることを想像させた。男はあっという間にグラスを空けるともう一杯オーダーし、アキナにも飲み物を勧めた。
グラスワインを飲むと、大きく開いた胸元はうっすらとピンク色に変わった。男がチラチラと胸元を見ていることにアキナは気付いていた。出張のお客さんが、離れた土地で女性との一夜を夢見ることはわかっている。出張の期間にどれだけお店に足を運ばせるか。
〝この男も私の虜になる〟アキナは男の太ももに手を置いた。
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