携帯電話

もう使うことのなくなった

携帯電話がある


ひとつは、とても古い

スマホなんて言葉もなくて

アンテナがついてたりする

小さなケイタイデンワ

これは夫が持っていたもの

仏壇の引き出しに入っている


もうひとつは、使い込んでいる

スマホじゃなくて古いガラケー

電話と簡単なメールが出来れば

それで充分だといって

これは父が使っていたもの

まだ実家の机の上に置いてある


どちらも電話は解約してある

だけど、届かないメールを

たまに書いているわたしがいる

送ることはできないから

消すしかないんだけど

時には消せずに保存したりして



もう使うことのなくなった

携帯電話がある


時々、そっと手に取って撫でたりして


使うことはなくなったけど

きっとずっとそこにあると思う

消えることのない想い出と一緒に


そう、思う

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る