第18話 ミーシャの提案書と初めてのキス
◆リオナ視点
ナユタが私を見つけた途端、走ってきた。
「奥様!奥様!
お手紙、ありがとうございます。
お気持ちがとっても嬉しくて…。
奥様。一生、お側にいさせて下さい。」
ふふふ、うちの子犬くんは人目も気にせず、またそんなこと言って。
ナタリーとメアリーが「キャーキャー❤️」言ってるじゃない。
「ふふふ、プロポーズは2人の時にね。
ほら、ナユタ、おいで。」
「はい…おぐざま…」
手を広げるといつもなように私の所に飛び込んでくる。
今日はもう感極まっているのか、すでに号泣していた。
「ふふふ、ナユタ。
お友達もいるんだから、一回離れてちょうだい。
ご挨拶しないと。」
「まだ、離れたくありません。」
ふふふ、またワガママ言って。
本当に可愛いんだから。
「ふふふ、ミーシャ、ロザリー。
こんな格好でごめんなさい。
ナユタが離れてくれなくって…。
ナユタから手紙で聞いているわ。
いつもナユタのこと、ありがとう。」
「いえ、大丈夫です。
ナユタの事は手の掛かる弟ぐらいに思ってるので。
最近、反抗的ではありますが。」
「ふふふ、この子が反抗するなんて珍しいのよ。
ロザリーの事をそれだけ信用してるんだと思うわ。」
「それなら態度で示してくれると嬉しいんですが。
この前も…」
ふふふ、ロザリーをよほど信用してるのね。ありがたいわ。
「ふふふ、ロザリー。これからもこの子をお願いするわね。」
「リオナ様、ミーシャです。
先日はお手紙で失礼致しました。
しばらく、お邪魔させて頂きます。」
「ふふふ、ミーシャ。いらっしゃい。
明日から初級ダンジョンを攻略すると聞いてるわ。
今夜にでも早速、お話を聞きたいと思ってるの。
どうかしら?」
「はい、リオナ様。是非。
お話の前にこちらに目を通して頂いてもよろしいですか?」
「ふふふ、これは手紙の件のものかしら?」
「はい。そうです。
私なりにまとめさせて頂きました。」
「そう。ありがとう。
早速、目を通させてもらうわ。」
「ミーシャ、ロザリー。
夕食までお部屋でゆっくりしてちょうだい。
メアリー、2人を案内してあげて。」
「ナユタは1時間後にお部屋に来てくれるかしら?」
「はい。奥様。
あの…ミーシャとのお話って?」
「ふふふ、女同士のお話なの。ナユタには秘密よ。」
ふふふ、そんな不安そうな顔して。
これからはミーシャがあなたのサポートをするかもしれないのよ?
「ふふふ、ねぇ、ナユタ。
今後、あなたはどうしたいと考えているのかしら?」
「奥様。貴族になる為に精一杯やれるだけやらせてください。
戦争にだって行っても構いません。
だから、僕にチャンスをもらえないでしょうか?」
「ふふふ、ナユタ。
あなたの気持ちは分かったわ。
でも…
戦争だけは絶対に許さない。
あなたが戦争だなんて、私が耐えられないもの。」
「奥様…。」
「ふふふ、ナユタ。
手紙に書いたのは私の本心よ。
平民になって、あなたと2人で静かに暮らしてもいいと思ってるの。
ナユタはそれを良しとしないのね?」
「はい。奥様。
奥様が領地や領民の皆さんの為にどれだけ心を尽くしてきたか、お側で見て参りました。
僕のせいで、それを捨てるなんて…耐えられそうもありません。」
「ふふふ、ねぇ、ナユタ。
あなたがそれを望むなら、私も覚悟を決めるわ。
あなたも覚悟はできているのかしら?」
「はい。奥様。
奥様と離れること以外なら、何だってやります。」
「ふふふ、その言葉を忘れないでね。」
「はい。奥様。」
私達の方向性は決まった。
ミーシャの提案書は実に良くできていた。
今日の話し合い次第になるが、恐らく、私達はミーシャを取り込まざるを得ない。
ふふふ、私も覚悟を決めないと…。
私はナユタを後ろから抱きしめ、耳元で囁く。
「ふふふ、ねぇ、ナユタ。こっちを向いて。」
「はい。奥様…その、お顔が…近くて…」
「ふふふ、恥ずかしいなら目をつぶって。」
「はい…。」
ふふふ、顔を真っ赤にして、私の子犬くんは何を期待してるのかな?
ふふふ、仕方ないから、キスしてあげる❤️
「ぁ…ぁぁ…奥様。」
「ふふふ、ねぇ、ナユタ。
これからはキスもいっぱいしようね。」
「はい…奥様。僕はとても幸せです…
あの…だから、もう1度、その…」
「ふふふ、ナユタったら、キスをせがんじゃって。悪い子ね。」
ふふふふふ、そんな蕩けそうな顔をして❤️
この子の心も、初めても全て私の物。
ねぇ、ナユタ。
今の気持ち、忘れないでね…。
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