第16話 ミーシャの手紙と奥様の反応

◆ナユタ視点


おっと、そろそろ時間かな。


ミーシャさんから奥様へ手紙を書く前に

奥様のことを知りたいと食事に誘われていた。


丘の上のベンチで17時に約束している。

ミーシャさんが手作りの料理をご馳走してくれるらしい。

感想を聞かせて欲しいと言われていた。


「こんにちは、ナユタ君。」


そう言って、ミーシャさんが料理を広げてくれる。

うわっ、美味しそう。


「ミーシャさん、とっても美味しいです。」

「やった!嬉しい。

人に食べてもらう機会がないから緊張しちゃって。」


「ねぇ、ナユタ君。

私のこともロザリーみたいに、ミーシャって呼び捨てにしてくれないかな?

私もナユタって呼びたいし。」


「えぇと、分かりました。ミーシャさん。」

「もう!ミーシャさんじゃなくて、ミーシャでしょ。

はい、もう1回。」

「えぇと、ミ、ミーシャ。

これでいいですか?」

「ダメ。敬語もやめて欲しい。」

「えと、ミーシャ。

こ、これでいいかな?」

「ダメ。噛んだから、もう1回。」

「ミーシャ。これでいい?」

「ふふ、目を見て、もう1回。」

「えと、ミーシャ…。これでいい?」

「あはは、なぁに?ナユタ。」


そう言って、顔を覗き込んでくる。

ちょっ!ドキッとするから辞めて欲しい…。


というか、この会話は何?

付き合いたてのカップルみたいな会話になってる。。。



僕には奥様がいる。

ミーシャにちゃんと言っておかないと。


流石にナユタでも

最近のボディータッチやダンジョンのパーティー、手作りの料理、この会話の流れはおかしいことは分かる。


1度ハッキリと言っておこう。


「ミーシャ、僕には…その…愛している人がいてて

あの…もし僕のことを異性として見てくれているなら…」

「あはは、分かってるわ。

総当たり戦の初日に応援に来られてたキレイな人でしょ?」

「えっ…うん、まぁ…」


重苦しい雰囲気になるかもしれない、そう思ったのに。

ミーシャのあっさりとした返答に拍子抜けした。


僕の勘違いだったのなら、それでいい。

それどころか、僕のことを追及してくる。


「あの時、ナユタはみんなが見てるのに抱き付いてたよね?」

「その、久しぶりに会えて嬉しくて…。」

「あはは、ナユタって大胆だね。」


「ねぇ、どういう出会いだったの?」

「村が襲われた時に拾ってもらって…

それから、ずっと可愛いがってもらってて。」

「それでか。見ていて、ただ好きって感じじゃなかったから。」


「それで、どっちから告白したの?」

「えと…僕から、そのもう少し待ってて欲しいって。」

「それで、それで?…」


「ナユタは彼女さんのどこが好きなの?」

「全部。キレイで優しくて、一緒にいて心地よくて…声を聞くと安らぐから。」

「キャァァ。全部って凄い。

私も言われてみたいな❤️」


「お手紙の頻度はどれくらいなの?」

「1日2回って言われてて、これだけは困ってる。」

「すごっ…それは愛されてるね…。

そのリングはやっぱり女避けみたいな感じかな?」

「そうそう。都会は魑魅魍魎がとかなんとか…」


「ねぇ、彼女さんはおいくつなの?」

「26歳。冬に27歳になられるかな。」

「ってことは、14歳上かな。

恋に年齢はって言うけど、ナユタもそっち派な訳ね。」


何でこんなに根掘り葉掘り聞かれるんだろ。

手紙に関係ないような。。。


「で、その彼女さんの事を何て呼んでいる訳?」

「えっ…いや、それは。

ミーシャ。質問が多すぎるっていうか…手紙には関係なくない?」

「あはは、ねぇ、教えてくれてもいいじゃない。

ちなみに手紙に関係は大有りよ。

むしろ、ここからが重要というか。」


そう言って、僕の右手をミーシャが両手で包んでくる。


「えっ、あ、いや…手が…」

「それで彼女さんの事を何て呼んでるのかな?」

「ぁ…ぅ…お、奥様…。」

「おくさま?」

「うん、奥様…。」

「えと、どういう関係なの?」

「その…拾って頂いた先のご夫婦の奥様で、旦那様がお亡くなりになった後も、そのまま奥様って呼んでて…」

「うわぁぁ。未亡人ってやつね。」


「それで、その奥様のお名前は?」

「…リオナ様。」

「あれ?リオナ様ってどこかで聞いたような。」

「………。」


「ナユタ君。ありがとう。

これできちんと手紙が書けそうだわ。」

「うん、それは良かった。

ミーシャ。その手紙には…」

「あはは。心配しなくても大丈夫よ。

ナユタが心配するような事は書かないわ。」

「うん。お願い…。」

「あっちで、リオナ様へのお手紙書いてくるから、ちょっと待っててね。」



ミーシャの手紙を受け取り、料理のお礼を言う。

僕も家に帰り、手紙を書こう。


「はぁぁぁぁぁ。」


気が重い。

奥様、がっかりされるだろうな…。


◆リオナ目線


「はぁぁぁぁぁ。」


リオナはナユタからの手紙を読み、ため息をつく。

落ち込んでいるあの子の側にいてあげられない自分を呪う。


まさかの5連敗を喫し、酷く落ち込んでいた。

あの子は私の落胆を恐れ、必死に弁明していた。

負けた悔しさよりも、明らかに私の落胆を恐れている。


私の為に貴族になる。

その気持ちがあの子を歪ませているかもしれない。


もっと伸び伸び育ててあげたかった。

こんな事なら、この総当たり戦は大事だなんて言わなければ良かった。


私はあの子の恋人でありながら、母親であり、姉のような側面もあるように感じる。


ごめんね。ごめんね。ナユタ。

あなたが1番苦しい時に、側に居てあげられなくて。



この時ばかりは、私の代わりに励ましてくれる友人の存在に感謝する。


しかし、それと同時にその2人を警戒する。

男性なら何の問題もなかった。

むしろ、歓迎して領地に招待していたと思う。


でも、励ましてくれる友人は女。

どうしても警戒してしまう。


特にミーシャの方。


ナユタに抱きついてた娘。

今度はナユタに付いて来て、屋敷に泊まりたいと言っているらしい。


そして

そのミーシャからの手紙がナユタからの手紙に同封されていた。


まさか、宣戦布告とかじゃないでしょうね?


ナユタから連れてきていいか、返答を求められている。

気は進まないけど、仕方なく、封を開けて手紙に目を通す。



リオナ様へ


突然のお手紙、失礼致します。


ナユタ君からのお手紙にもあったと思いますが

次の長期休暇をナユタ君と一緒に過ごす許可を頂きたく、お手紙をしたためました。


付きましては、以下3点をリオナ様とお話しできればと思います。


・ナユタ君の今後の女性関係の展望。

・ナユタ君の特殊スキルの考察について。

・ナユタ君の今後の成長方針について。


少なからず、彼の今後について、お力になれるものと考えております。

私からもリオナ様へ、若干ではございますがご要望とお願いがございます。

聞いて頂ければ幸いです。


ナユタ君と一緒に、リオナ様へお会いできることを私達も楽しみにしております。


     ミーシャ



ふふふ、なにこの手紙は。

一方的に私が招待することを確信してるかのように書かれている。


でも、書かれている内容は実に興味深い。

ふふふ、話を聞いてみる価値はありそうね。



さぁ、私もナユタに返信書かないと。



ナユタ 12歳


火魔法使いLV24(1373/2400)


ステータス

HP 118/118

MP 300/300

体力 50

力  55

魔力 224

精神 138

速さ 78

器用 74

運  60


スキルLV

スキル吸収LV4(2668/3000)

生活魔法 LV10(336/1000)

回復魔法 LV6(456/600)

火魔法  LV13(242/1200)

価格交渉 LV3(165/300)

病気治療 LV6(507/600)

土魔法  LV10(910/1000)

水魔法  LV10(348/1000)

風魔法  LV5(358/400)

格闘術  LV12(154/1000)

飛行魔法 LV5(77/500)

隠密   LV4(193/400)

氷魔法  LV3(60/300)

魔力感知 LV3(173/300)

植物魔法 LV1(4/100)

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