第13話 勝利のご褒美と追加の首輪

◆リオナ視点


「奥様。勝ちました!」


ふふふ、ナユタったら、手を広げると飛び込んで来てくれるようになったね。


「ふふふ、ナユタ。

勝つって信じてたわよ。」


よしよし。頭を撫でてあげると嬉しそうにしている。

久しぶりなせいか、離れようとしない。

人目とか気にしないのかしら?

ふふふ、本当にこの子はどうしてこんなに可愛いの?❤️


大きくなっても、強くなっても、こういう所は変わらない。

変わって欲しくない。

ふふふ、やっぱりナユタは私の可愛い子犬くんだ。



しかし、この子はいくつスキルを使えるのかしら?

私の目から見ても強くなってる。


ただ、さっきの試合は褒められた物ではなかった。

どう見てもやり過ぎとしか言えない。


「ねぇ、ナユタ。

さっきの試合はあそこまでする必要は無かったと思うわ。

どうして、あそこまでやったのかしら?」

「あいつが奥様のことを…その…」

「その?」

「オバサンだって言うから…」

「オ、オバサン…」


ふふふ、ナユタ、よくやってくれたわ。

まだ私は26よ。

せめて、お姉さんとかにしなさいよ。。。


ナユタも大きくなりたいって悩んでたけど、私もその逆で悩んでいる。

14歳差ってやっぱり大きいもの。

12歳から見ればオバサンに見えるのかしら…


「おまえに奥様の何が分かるって思ったら…その、つい。」

「ふふふ、そう。それなら仕方ないわね。

ナユタが私のことで怒ってくれて嬉しいわ。」


「でもね、ナユタ。

あそこまでやっちゃうと、必要の無い恨みまで買ってしまうことになるわ。

それがいつか自分に返ってくるの。

だから、あそこまでやったらダメよ?」

「はい、奥様。

次からは気を付けます。」


ふふふ、素直で良い子ね。


「ふふふ、ねぇ、ナユタ。

もちろん次の試合も勝ってくれるんでしょう?」

「はい、頑張ります。」

「そう。楽しみにしているわね。

ナユタが頑張ったご褒美を考えていたの。

2試合目が終わったら街に行きましょうね。」

「ご褒美ですか!奥様、頑張ります。」


ふふふ、そんなに喜んで。

とっておきの物を考えてきたから、楽しみにしておいてね。


「あ、奥様。ミーシャさんの試合が始まります。

いつも仲良くしてくれてますので、応援してきてもいいですか?」

「ふふふ、いってらっしゃい。」


ナユタの腕に抱きついたとか言ってた報告書の子ね。


あら…綺麗な子じゃない。

ふふふ、ああいう子は油断ならない。

女の勘がそう囁く。


今は同じ魔法使いとして、ナユタに興味を持ってるのかもしれない。

でも、ちょっとしたきっかけで異性への興味へと変わってしまうもの。

行動力もありそうだし。


ふふふ、しっかり私とナユタの絆を見せつけておかないと…


あら、危なげなく勝ったわね。

ナユタがミーシャと笑顔で握手している。


その笑顔は私の物なのに。

ちょっとモヤモヤする。


ふぅぅぅ、平常心平常心。




午後の試合もナユタは危なげなく勝っていた。

他の子達は他の試合の研究に余念が無いのに

この子は興味もないのか、すぐに私の所にやってくる。


「奥様、お待たせしました。

帰っても大丈夫みたいです。」

「ふふふ、それじゃ、ナユタ。

街に行きましょう。」

「はい、奥様。」


そう言って、私はナユタと手を繋ぐ。

ふふふ、本当に嬉しそう。


「あの…奥様。

その…ご褒美に…宿に泊まられるのでしたら

今夜はお側にいてはいけませんか?」


顔を真っ赤にしたナユタが俯きながら聞いてくる。

繋いだ手に力が入っている。

ふふふふふ、勇気を振り絞って言ってくれたのね。


あぁぁぁ、可愛い過ぎる❤️

このまま領地まで持って帰りたい。


「ふふふ、ナユタ。

その気持ちはとっても嬉しいわ。

でも、ごめんなさい。

今日は公爵様の所に用事があるの。」

「そうですか…

あの…それでしたら明日は…?」

「ナユタ、ごめんね。

明日の朝には領地に戻らないといけないの。」

「はい…奥様…。」


さっきまで元気だった子犬くんの尻尾が垂れ下がる。

ぁぁ…ごめんね。ごめんね。ナユタ。

そんなに落ち込まないで。


「ふふふ、この総当たり戦が終われば休暇でしょ?

もうすぐ領地に帰って来れるわ。」

「はい、奥様。

休暇になれば、すぐに領地に帰ります。」

「えぇ、待っているからね。

ふふふ、さぁ、ナユタのご褒美を見に行きましょう。」

「はい、奥様。」

「着いたわ。ここよ。」

「奥様…ここって…」


そう言って宝石店に連れてきた。


「ふふふ、そうよ。

ナユタの魔除けが足りてないみたいだから、増やしておかないと。」

「奥様…その…僕は奥様しか考えられませんので、もう魔除けは…」

「ふふふ、あらダメよ。

ミーシャさんに抱き付かれたばかりなのに。

今日も笑顔で握手してたでしょう。」

「それは…魔法のことで…」

「ふふふ。ねぇ、ナユタ。

これはお願いじゃないの。命令なの。

賢いあなたなら分かるわね?」

「ヒィッ…」


あら、いけない。ちょっと怖かったかしら。

ふふふ、嫌がってもダメよ。ナユタ。

首輪を増やすのは決定事項なの。


「ふふふ、右手の薬指にあのリングなんてどうかしら?」

「奥様…これは女性用ではありませんか?」

「ふふふ、それくらい可愛くないと、魔除けも効き目が薄いでしょ。

私はよぉぉぉぉく分かったもの。」

「奥様…何卒。せめて、男性用の物を…」

「店員さん、これを下さい。」

「ぁぁ…」

「ナユタ、分かってるわね。

これはお願いじゃないの。命令なの。

分かったわね?」

「………。」


あら、返事しないなんて

反抗してるつもりかしら?


「返事は!」

「はい!奥様。」

「ふふふ、ちゃんと返事しないとダメでしょ?」

「はい…。」


こうして、頑張ったご褒美に首輪が追加された。。。


こんなことになるなら、頑張るんじゃなかったと嘆いていたという。。。

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