第10話 ロザリーと急な転校生
◆ロザリー視点
この時期に急な転校生がやって来た。
私の席の隣。ヘラヘラした優男で『火魔法使い』。
まだ中級職に転職もできてないってことでしょ?
他じゃ、優秀だったかしれないけど
ここじゃ、ただの落ちこぼれじゃない。
しかも、このクラスは冒険者コースの特進クラスよ?
あんたなんか呼ばれてないっつーの。
ほら、今日も1人でご飯食べてる。
そりゃ、誰も興味すらないでしょうよ。
薬指にリングなんか付けちゃって。
何、あのハートにピンクの石は。
彼女に首輪付けられてるじゃん。馬鹿なの?
心配しないでも誰もあんたなんか取らないわよ。
はぁ~、あんたが転校してきたせいで、ダンジョン実習でペアを組まされる私の身にもなって欲しいわ。
ずっと1人で気楽だったのに。
はぁぁ、ほら、さっさと着替えてきなさいよ。
ただでさえ、魔法使いはトロいから嫌いなのに、人を待たすなつーの。
うん、これはダンジョンで1発殴るの決定。
うわ、ヘラヘラしながら寄ってきたし。
キモいから殴り追加決定。
ウザイから、置き去りにしてやろう。
ビビって泣き出しそうだし。
あれ?思った以上に着いてくるわね。
じゃ、これならどう?
痛っ、あんたを撒こうと思ったら、罠踏んじゃったじゃないの。
お前のせいで、足、怪我したし。
もう2発追加だかんね。
うわ、このタイミングでゴブリン5匹か。
私は足痛いから見てるかんね。
それぐらい余裕でしょ?
へぇぇ、思ったよりはやるじゃない。
あれ、『火魔法使い』って言ってたよね?
殴って倒してたような。
あれ?【回復魔法】使えるんだ。
ほんの少しだけ見直したわ。
回復したくらいで、話しかけてくんなっつーの。
ほら、次、来たわよ。
まぁ、火魔法あるなら、この森林エリアは楽勝でしょ。
あれ?ただの【ファイア(小)】にしては、なんか火球が大きくない?
まぁ、どうでもいいけど。
クックックッ
そいつは火魔法を吸収するからね。
あれ、今の水魔法使ったような。
おかしいわね。
いくつスキル持ってるのよ?
しまった。
あいつ見てたら、ボーっとしてた。
囲まれた。
ウルフ6匹か。
さすがに『火魔法使い』じゃ、1人では無理でしょ。
しょうがないから助けてあげるわ。
あれ?今の避けるんだ。
えっ、今のは見えなかったはずだけど。
もしかして、【見切り】使ってない?
いや、まさかね。
ふぅぅ、やっと集合場所についた。
私達が1番じゃん。
まぁ、私がいるし当然か。
お?【エリアクリーン】使えんの。
確か【生活魔法】LV10で覚えたっけ?
コイツ、いると便利かも。
次からも組んであげてもいいか。
感謝しなさいよ。
え?転校生どうだった?
まぁまぁ、便利なヤツよ。
【クリーン】と【回復魔法】使うし。
体術はそれほどでも無かったけど
ウルフに囲まれた程度なら1人で対処できるわね。
【見切り】使えると思うわ。
ナックル持ってたし。
【格闘術】やってるんじゃない。
え?『火魔法使い』?
あぁ、【火魔法】も使ってたわね。
ついでに【水魔法】も。
そんな訳ないって言われても知らないわよ。
どうせ、私が倒した?
まぁ、私も活躍して…ないわね。
罠は踏んだけど。。。
その日から、私は転校生から目が離せなくなった。
「ナユタだっけ?
今日の実習も私が組んであげるわ。」
「ロザリーさん。昨日はありがとうございました。
でも、僕は色んな人と組んでみたいので…」
「はぁ?私が組んであげるって言ってんの。
分かった?」
「え…あ…はい…。分かりました。。。」
なんで、あんたが嫌そうにしてんのよ。
私と組みたがる子は結構多いのに。
「私は盗賊系中級職『怪盗』LV27。
昨日は罠も踏んだし、魔物にも囲まれたけど…
本来、そういうのは私に任せといて。」
「へぇぇ、『怪盗』の人を初めて見ました。
よろしくお願いします。」
「で、ナユタはいくつスキルを持ってるのよ?」
「え…いや、3つくらい…」
「はあ?昨日、5つは使ってたでしょうが!
嘘付くと殴るわよ?」
「ヒィッ…」
こうして、ナユタはロザリーに付きまとわれることになる。
奥様が絡まないと基本弱気なナユタに取って
ロザリーの強気な姿勢に押しきられることは明白だったと言えよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます