第9話 面倒なステータス更新とナユタの転校
「奥様。お話がございます。」
「ふふふ、改まってどうしたのかしら?」
「以前、お断りした上級学校に行かせてもらえないでしょうか?」
ナユタは成長の限界を感じていた。
領地の子供達に比べれば、確かに圧倒的なステータスを保持している。
吸収レベルもこの2年で大きく上昇し、1日4スキルまで吸収できるようになった。
しかし、町と村を合わせて人口1100人程度のこの領地では、めぼしいスキルを吸収できない。
優秀な人材は早々と領地を出て、都会に行ってしまうからだ。
優秀な人材が集まる所にこそ、優秀なスキルも集まる。
それならば、自分も行くしかない。
9つのスキルを持ち、色々できることはできるが、1つ1つが飛び抜けている訳でもない。
要は人数さえいれば、ナユタはいくらでも代わりがきく人材でしかないのだ。
それなら、なるべく早いうちに行くしかない。
奥様との未来を真剣に考えれば、行き着く結論はそれしかなかった。
◆リオナ視点
「貴族になる為には、1度、都会に出る必要があると感じました。」
ふふ、そうよね。
貴族になるのは、そんな甘いものじゃない。
遅かれ早かれ、この道を選ぶ必要はあるもの。
自分で気付いてくれたことも嬉しい。
でも…
「ダメでしょうか…?」
「ふふふ、ダメな訳ないでしょ。
でも…
私があなたを必要としてるって言ったら、残ってくれるかしら?」
「奥様。それは…僕とその…お付き合いして下さるということですか?」
「えぇ、そういうことになるわね。」
「奥様。…僕は奥様と過ごせるなら…それだけで幸せです。
でも、それだと…」
「それだと?」
「奥様に対して、誠実とは言えないような気がして…」
ふふふ、うちの子犬君は私との未来を本気で考えてくれてる訳…か。
「ふふふ、じゃ、残ってくれるかしら?」
「えっ…?」
「私はあなたを必要としている。
だから、残ってくれないかしら?」
「奥様が本当にそう思ってくれてるなら、よろこ」
「ふふふ、嘘よ。
私のことは気にしないでしっかり勉強してきなさい。」
「奥様…」
ふふ、寂しくなるわね…。
私の方が泣いてしまいそう。
「ふふふ、ナユタ。
今日は魔除けを買いにいくわよ。」
「魔除け…ですか?」
「そう。都会は怖いところよ。
ちゃんと魔除けを付けないと危ないところなの。」
そう言って宝石店に連れていく。
「ふふふ、ナユタ。
ねぇ、このハートのなんか可愛いと思うわ。」
ふふふ、これなら、さすがに変な女も寄ってこないでしょ。
石はピンクがいいかしら?
「えと…これ、僕が付けるんですよね?」
「ふふふ、えぇ、そうよ。
都会は魑魅魍魎が集まるところよ。
可愛いければ可愛い程、魔除けの効果も上がるの。」
「いや、でも…」
ふふふ、ダメよ。
ちゃんと首輪は着けさせてもらうからね。
「ふふふ、あら、大好きな奥様からのプレゼントは付けられないのかしら?」
「もう…ちょっと、シンプルな方が…」
「店員さん、これ貰えますか?」
「ちょっ!奥様。」
「ふふふ、ダメよ。異論は認めないわ。」
「ぁぅぅ…」
ふふふ、その困った顔も可愛い。
もう、しばらく会えなくなるんだね…
「ふふふ、ねぇ、ナユタ。
昨日言ってた、私があなたを必要としてるって話。
嘘じゃないからね。」
「奥様。」
ダメだ。
今日は私の方が涙をこらえられそうにない。
「だがら…ヒック…ぢゃんど私の所に帰っできでね。」
「はい、僕の帰る所は奥様の所しかございません。」
今日はナユタが私を抱きしめてくれる。
ふふふ、子犬君の癖に生意気なんだから。
「あと、毎日手紙書いてね。」
「はい、奥様。毎日、絶対書きます。」
「朝と晩の2回よ?」
「あの…1回で良くないですか?」
「2回よ。」
こうして、ナユタは上級学校に転校することになる。
奥様の束縛はかなり激しかったそうな。。。
ナユタ 12歳
火魔法使いLV22(2107/2200)
ステータス
HP 103/103
MP 252/252
体力 36
力 48
魔力 182
精神 123
速さ 75
器用 62
運 56
スキルLV
スキル吸収LV4(260/3000)
生活魔法 LV10(20/1000)
回復魔法 LV6(102/600)
火魔法 LV12(307/1200)
価格交渉 LV3(139/300)
病気治療 LV6(303/600)
土魔法 LV10(670/1000)
水魔法 LV10(108/1000)
風魔法 LV4(268/400)
格闘術 LV11(192/1000)
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