第8話 説明回と子犬の散歩

◆ナユタ視点


当主である奥様と結婚したいのであれば、どんな形であれ貴族になる必要がある。


では、貴族になる為にはどうすればいいか?

・戦争で活躍する

・宮廷魔術師の中でも上位に入る

・国が必要とするレアなスキルを持つ

・冒険者の中でもトップレベルの功績を残す

・その他、内政等の手腕が認められる


うん、今の僕では不可能と言っていい。。。


では、どうすればいいか?

強くなるか、レアなスキルを吸収すればいい。


それが1番手っ取り早い。

しかし、上位スキルは吸収スキルのレベルを上げないと吸収できなかった。

試しに吸収しようとしても弾かれてしまう。


結局、どこに行き着くかというと、強くなるか、吸収スキルを伸ばすしかない。


では、強くなる為にどうするか?


ダンジョンが手っ取り早い。



◆リオナ視点


「奥様。貴族を目指そうと思います。

勝手言いますが、しばらく、使用人のお仕事をお休みし、補佐のお仕事を減らして頂いてもよろしいでしょうか?」


ふふふ、嬉しい。

やっとその気になってくれたんだね。


「ふふふ。

あら、どうして、貴族になる必要があるのかしら?」

「あの…奥様と…その…」

「ふふふ、ナユタ。聞こえないわ?」


ふふふ、ちょっと意地悪だったかしら。

子犬君の予定通りのリアクションに私は満足する。

今日もちゃんと好きだって聞きたいんだもの。


「その…大好きな…奥様と…いつか結婚したいから…」


ふふふ、ナユタはやっぱり可愛い。

ちゃんと言ってくれて、私は嬉しいわ。


「ふふふ、ナユタ。よく聞き取れなかったわ。

もう1度言ってくれないかしら?」

「えっ…」


ふふふ、顔を真っ赤にして。もじもじして。

本当に可愛い過ぎるでしょ。

こういうところは本当に昔から変わらないのね。


「…もう言いません。」


ふふふふふ、ナユタったら拗ねちゃった。

残念、もう1回聞きたかったのに。


「そう。じゃ、お休みは認めないわ。」

「えっ…」

「ふふふ。ねぇ、ナユタ。お願い。

もう1回だけ、ちゃんと目を見て言って。」

「…奥様と…ぁぁぅ…」


キャァァァ、可愛い過ぎるでしょ❤️

真っ赤になって固まっちゃった。

ふふふ、目を見て言うと恥ずかしいよね。

満足したから今日は許してあげる。



こうして、ナユタは奥様のお遊びに付き合わされることになる。。。


「もう!奥様知りません。

明日までダンジョンに行って、帰ってきませんからね。」

「ふふふ、ナユタ。気を付けてね。

寂しくなったら、帰っておいでなさい。」


◆ナユタ視点


「本当に奥様は。

こっちは真剣に考えてるのに!


でも…さっきの奥様…可愛かったなぁ。」


結局、ナユタにも弄られる原因が有るとか無いとか。。。



ふぅぅ、やっぱり時間を気にせず、ダンジョンに入るとレベル上げが捗る。

このペースで毎日頑張れば、短期間で強くなれる。

今日は屋敷には帰らない。


奥様にお会いしたいけど我慢。


火魔法で敵を倒す。

よし、レベルが上がった。


奥様を一目見たいけど我慢。


格闘術で殴る。殴る。殴る。蹴る。

よし、2匹倒せた。


奥様に触れたいけど我慢。


土魔法で空から叩き落とす。

よし、トドメだ。


奥様に撫でてもらいたいけど我慢。


ここを昇れば出口だ。

屋敷までもう少し。


奥様を…


ぁぁ…

いつの間にか屋敷に戻ってきてしまった…。

今日は帰らないって言ってきたのに。。。


「ふふふ、ナユタ。お帰りなさい。

そろそろ、散歩から帰ってくるかなって思ってたわ。」


あっ!奥様だ。


「ふふふ、ほら、ナユタ。おいで。」

「はい。奥様。」

「ふふふ、今日もちゃんと頑張ったの?」

「はい。奥様。LVが上がりました。」

「ふふふ、そう。偉かったわね。」


そう言って、奥様は頭を撫でて下さいます。

やっぱり奥様の所が1番です。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る