第5話 奥様 告白される
◆リオナ視点
「奥様。ナタリーさん。
昨日は感情的になり、申し訳ありませんでした。」
次の日、あの子が私とナタリーに謝罪してきた。
いつもより他所他所しいのが気になる。
「こちらこそ、勘違いさせるような話をして申し訳無かったわ。
今回の件は先方にもお断りを入れたから、気にしないでちょうだい。」
「奥様、ありがとうございます。
では、私は仕事に戻ります。」
あの子の太陽のような笑顔が見たかったのに、あっさりと仕事に戻られてしまった。
しばらくすれば、元に戻るだろう。
しかし、この日から子犬のようなあの子は
以前のように、こちらに寄ってこなくなった。
以前であれば、何でも自分から言いに来てくれていたのに
最近はこちらから聞いても、はぐらかす。
相変わらず、目はよく合うけれど
昨日はすぐに目をそらされた。
もう前みたいに私の所に来てくれないのかしら。
近くの村に視察に行った時だった。
何故かあの子がいる。
「えっ…こんな所で何してるの?」
村を視察に来たはずなのに、あの子が何をしているのか気になって仕方がない。
私は物陰から、あの子をずっと見ていた。
村長の話によると
どうやら、少し前から休みを利用して
村に病人や怪我人の治療に来ているみたいだ。
自分に治せない人は症状を聞いて、町の『医者』に確認しているみたい。
村の皆とはもう顔馴染みになっていて
彼らの前では満面の笑みで笑っていた。
ズルい…あの笑顔は私の物なのに。
本来ならあの子に感謝しないといけないはずなのに何故かそう思った。
今度は可愛いお姉さんに笑顔で手を振っている。
何故か。イラッとする…。
次は年下の女の子から手紙を貰っている。
後で中身を確認しないと…。
最後の診療が終わって片付けをしていた。
「ふふふ、ナユタ。お疲れ様。」
「奥様…。村にいらしてたんですね。」
「村の皆とは仲良くやってくれてるみたいね。」
最近、私には素っ気ないのに。
「はい。村の皆さんはとてもよくしてくれます。」
「ふふふ、女の子から手紙を貰ってたのも見てたわ。」
「あ…あれは前回、治療してあげたお礼の手紙で。」
「ふーん。可愛いお姉さんには笑顔で手を振っていたわね。」
「いや、あれは、その…お姉さんが笑顔で手を振ってくれたから…。」
「ふふふ、まんざらでもなさそうに見えたけど?」
「そ、そんなことありませんって!」
ふふふ、あたふたしている。
やっぱりナユタはこうでないと調子が出ない。
「ふふふ、分かってるわよ。」
「ほ、本当にですよ。」
「ただね。最近、私にはあまり笑ってくれなくなったのに、村では満面の笑みなんだって思ったわ。」
「それは…その…」
「その?」
「奥様が僕を手放せないくらい頑張って…」
「頑張って?」
「その…学校なんか行かずに、奥様からずっとここにいて欲しいって言わせてやろうと思ったら…」
「思ったら?」
「…いつも以上に奥様を意識してしまって…」
「どう意識してしまったのかしら?」
ナユタが顔を真っ赤にしてモジモジしてる。
ふふふ、やっぱりナユタは可愛い❤️
「………。」
ふふふ、ちょっとイジメ過ぎたかしら?
今日はこの辺にしてあげよう。
「奥様。今、僕は【病気治療】のスキルを伸ばしています。」
「えぇ、前に言ってたわね。」
「奥様が病気しても僕が治せるようになって、他にも奥様が困っていることを僕が手助けできるようになって…」
「うん。」
「そしたら…旦那様に代わって、奥様を守ってあげられると思って…そうなったら、僕と…」
ふふふ、ナユタったら。
まるでプロポーズされてるみたいじゃない。
「お付き合いしてもらえませんか?」
ぶっっっ…。
ナユタが震えながら、こちらを真っ直ぐ見ている。
「え…あの…」
「あの?」
「それは本気で…」
「冗談に見えました?」
ナユタは伝えたいことを伝えたら
開き直ったのか、ちょっと強気になってる。
何で私が困らされるのよ。
「奥様。今の僕には良い返事はできないと思います。
でも、いつか必ず奥様に僕が必要だと言わせてみせます。
だから、もう少し僕を待っててくれませんか?」
「ふふふ、分かったわ。
しばらく待っててあげる。」
そう言って、私からナユタと手を繋ぐ。
頑張って告白してくれたご褒美ということにしておこう。
それから、2年の時が流れた。
あの子は領地にとっても、私に取っても無くてはならない存在になりつつあった。
2人の立場は徐々に逆転、と言えばいいのか…。
気が付けば、私の方があの子を意識するようになっていた。。。
ナユタ 10歳
火魔法使いLV6(292/600)
ステータス
HP 27/27
MP 56/56
体力 10
力 10
魔力 36
精神 24
速さ 15
器用 15
運 12
スキルLV
スキル吸収LV1(627/1000)
生活魔法 LV3(238/300)
回復魔法 LV1( 69/100)
火魔法 LV3(166/300)
価格交渉 LV2( 21/200)
病気治療 LV1( 66/100)
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