異世界で、学園生活をミニスカートとともに
季節は秋だが、まだまだ残暑が厳しい。
夏休み明けのアルディージャ学園では、夏用の制服を着た生徒達が続々と登校してくる。
そんな、新学期のワクワクした雰囲気が漂っている中で、俺は寮の自室で正座をし、反省の意を示している。
襟を正した殊勝な俺に対し、最近話題の『みにすかーと』にアレンジした制服を着た美少女は、スカートの端を摘まむと声を荒げた。
「アル様! 何ですかコノ卑猥なスカートは! もう、信じられません!」
美少女は必死になって怒っている為、スカートがチラチラ揺れ、もう少しで中の具が見えそうだ。
バレないように必死で目を細めて下から覗く。
そんな事を知らないルールーが矢継ぎ早に責めたてた。
「どうしたらこんな卑猥な服が思いつくのですか? これを履く女性の恥ずかしい気持ち、分かってくれますか?」
「だったらルーも男物の制服履けば良いだろ?」
ベッドの上で呑気に寝転んでいたスカーレットが脚をパカパカ開いてズボンの良さをアピールした。
「私はスカーみたいに男性の服なんて着れません、ちょっと黙ってて!」
いやー。
火に油を注ぐなよな、僕っ娘。
「で、でしたら元の制服を着たらどうでしょうか、ルールー様…」
「皆が『みにすかーと』を履いているのに、私だけ長いスカートを履けと? そう仰ったのですか、アル様?」
真顔のルールーがズイっと俺の目を覗き見た。
こ、怖い。
ほ、ホラーです、お母様。
井戸から出て『クル~』女性と同じ暗い目です。
「まったく。こんな物がどうして流行ったのか、甚だ疑問です…」
そう言ってルールーが軽やかにターンをすると、ミニスカートがクルクルと揺れ、その姿は正に女神。
ああ。
お母様とルールーの、お説教覚悟で販売しただけの価値はあった。
この瞬間、全ての努力が報われた。
そう。
世は空前のミニスカートブーム。
老いも若きも男も女も、貴族も庶民も、皆、ミニスカートのヒラヒラに夢中になっている。
仕掛人はカレン。
以前話していた貴族の部屋着がミニスカートだったとは。
それは流行るよ、売れるよ。
今年の夏は暑かった。
だからこそ、機能面が女性に評価された。
俺たちが作っているパンツと合わせて履けば足元の爽快感は倍増だしな。
カタログの効果も抜群だった。
この見えそうで見えないチラリズム。
どんな高尚な男でも、この誘惑にはあがなえないだろう。
侍女や妻の為に、男がこぞってミニスカートを買い求めた。
そして、国内で空前のミニスカートブームが巻き起こり、秋が始まってもその熱が冷めないのだった。
「僕は結構、好きだけどな。動きやすいから」
うん。
以前、スカーレットは面白がって履いたが、運動量が多すぎるから常にパンツ丸見えの状態だった。
パブリック・オ・パンツだった。
俺がガン見するのは良い。
しかし、周りのオッサンが鼻の下を伸ばして、この美少女のパンツを見るのは許せん。
ルールーと協力してスカーレットを説得し、男物のズボンを履かせたのだった。
「はあ。新学期が憂鬱です…」
ルールーがスカートをひるがえす姿は輝いていたのだった。
▽▽▽
ルールーがあまりにも恥ずかしがるから、スカーレットも一緒にミニスカートを履いて登校した。
スカーレット、ルールー、俺の順番で縦一列になって歩く。
ルールーのミニスカートを見れないようにする為だ。
「しっかし、何が恥ずかしいのか、僕にはさっぱり分からないぞ」
「こら! 止めなさい、スカー!」
スカーレットがスカートの端を掴み上げて、オパンツ全開で歩いた。
ちょ、お前ぇ。
お前のパンツはパブリック・オ・パンツだけれども、俺以外には見せたくないんだっつーの。
あー。
もう。
大人に成れないお友達がガン見してるくるし。
周りを注視すると、中年の教師が『はぁはぁ…』と鼻息荒く建物の影からスカーレットを見ているので、つかつかと前に出て間に入った。
「止めろ! スカー!」
「あ、アル!?」
「いいから止めてくれ」
スカーレットの手を取ると『分かったよ、アル。もう大きい声出さなくてもやらないから大丈夫』とふてくされた顔をしつつも、パブリック・オ・パンツを止めてくれた。
まったく。
困ったものだ。
周りを見るとオパンツを出して遊んでるのはスカーレットだけじゃない。
何処を見てもミニスカの幼女や少女がキャッキャしている。
まったく、この学園はどうなっているんだ。
そもそも、学園の風紀を乱す物を産み出した奴は誰だ?
そいつが全ての元凶だな。
伝統あるアルディージャ学園の女子に売り付けるなんて、とんでもない悪人だ。
はっ!
あっ!
えっ!?
お、俺だ…
やったの俺だった…
リックと二人でノリノリで作った。
貴族の淑女にミニスカートを売るついでに、アルディージャ学園の制服を模したミニスカートをセットにすれば男は絶対にお金を出すだろうと、セット販売の計画を練った。
どんな高値を付けても絶対に爆売れするだろうと、夏休み期間中に売って、売って、売りまくった。
その結果がこれか…
これは大人のお友達が、昔を懐かしむ為に作ったのに…
本当に学園に着てきちゃダメだよ。
今さら遅いけどさ。
俺が『ヤベーなコレ』と周りを見渡す姿をルールーがジト目で睨む。
うん。
帰ってもお説教だな、これは。
俺は覚悟を決めたのだった。
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