第11話 A summer day(11)
この子は親戚のムスメや・・
いや、おれのムスメや!
志藤はブツブツと念仏のようにそう唱えた。
熱が出て、汗だくの彼女をこのままにしておけない。
もうコンサートは明後日だ。
これ以上ひどくなったら。
そうや、
おれは全く持って疚しい気持ちはなく。
この子を今助けてやれるのは
おれだけや。
ゴクっとツバを飲み込んだ。
彼女の荷物を漁るわけにいかないので
自分が持ってきた綿のシャツを取り出した。
「エリちゃん、」
そっと彼女を抱き起こした。
「ん・・」
苦しそうに少しだけ目を開けた。
「着替えないと。 また風邪をひく、」
「え・・」
絵梨沙は無意識に自分の服のボタンに手をかけた。
目の前に志藤がいるにもかかわらず
もうフラフラで、彼女はどんどん脱ぎだした。
見ないようにしよう・・
見ないようにしよう・・
志藤は目をそらして、彼女が服を脱ぐのを手だけ伸ばして手伝っていた。
「あれ・・」
絵梨沙のぼうっとした声に思わず
「え、」
と彼女を見てしまった。
・・・・!!!!!
彼女はノーブラで。
思いっきりその裸体を志藤は目の当たりにしてしまった。
「ボタンが・・」
着替えたシャツのボタンがうまくはめられない。
「・・もう・・ちゃんとしてくれって・・」
志藤はまたも目を逸らしながらもボタンをはめた。
ものすごい
汗がどくどくと流れてきた。
彼女の身体は
本当にまるで人形のように
美しく。
その細い身体に似つかわしくない
グラマラスなバストに
男として興奮しないわけがなかった。
何とか着替えた絵梨沙はそのまま、またパタっと寝てしまった。
なんで
おれなんかとこうやって寝てるのに
ノーブラでいるかなあ・・
も、
ぜんっぜんわからへん!!
志藤はもう頭の中の妄想を振り払おうと必死だった。
別に
女の身体に
今さらドキドキするとか
そういうんじゃないけど。
これは
反則やろっ!!!
あまりに無警戒で無防備な絵梨沙が恨めしく思えた。
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