第10話 独りぼっちの林間学校
林間学校を前にして、私は憂鬱でした。
まず班分けの問題がありました。みんな好きな者同士でグループになるので、いつも孤立している私は困ってしまうのです。
けどこういう時いつも必ずどこかのグループが声をかけてくれ、入れてもらえました。なぜかはわかりません。先生がこっそり「みちみち入れたってーや」とか言ってるんじゃないか、とか思ったりもしたけど、真相はわかりません。
林間の前の日に少し体調が悪かったので、ひょっとして行かなくて済むかもと思ったけど、次の日にはすっかり良くなってしまい、行かざるを得なくなりました。
林間には私服も持ってかなきゃならなかったので、困りました。あまりマトモな服を持ってなかったので、結局アニキのを借りて行きました。
集合場所がなぜかウチから徒歩1分の所でした。決して私のためにそうなった訳ではないと思います。たぶん。
バスに乗り、どこかに向かいました。どこかに着いた後、一行は又どこかに向かって歩きました。私は適当に人々に付いていきました。
だいぶ歩かされた後、先生が道を間違ってたことに気付いたんです。先生の近くにいた虫谷は何げなく「災難や」とつぶやきました。すると道を間違えた張本人である中年男性教師Yは
「なんや! 君はそんなことも許されへんのか!」
と逆切れしました。
虫谷は理不尽な説教をうけて本当に災難でした。私は少し離れた所でその光景を黙って見ていました。
友達のいない林間や修学旅行などは全く楽しくない。て言うか苦痛以外の何ものでもありません。
私は携帯ラジオを持っていき、一人で中日戦を聴いていました。(中日ファンだったのよね)
フォークダンスはやはり踊りませんでした。胃が悪くなってメシもほとんど食べれませんでした。とにかく、早く終わって欲しかったです。
旅館では班ごとに出し物をすることになってました。クラス全員参加なので私も漫才みたいなのをやる羽目になりました。即席の相方と2人で登場して、私が話し掛けられるけど何もしゃべらなくて終わる。っていうシュールな内容のもので、全くウケませんでした。
私がネタじゃなくマジで何もしゃべらないと思われたようで、今でも心残りでしょうがありません。
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