第8話 みんなが私を
さくらは橋の上で悔しくて涙ぐんだのとは違う、そう、有難さ、が込み上げ目頭を熱くした。
サラリーマンとして大事な時期、課長昇進を目の前にした新井さんが新人の私なんかの為に、立ち位置を顧みず私の気持ちを代弁してくれた。
熱くなった目頭からは、ぽとぽとと感謝の粒が流れ落ちた。
植草はそんなさくらをみながら
「東山、新井さんみたいな人がいるから俺たちは頑張れるし、落ち込んだり、腐ったりしてる暇なんてないんだよな。」
さくらは頷きながら
「頑張ったらいいことある。」と小さな声で呟いた。
「明日、何らかの結論が出されると思うけど、
大丈夫だよな。東山。」
「はい、どんな結論でも今まで以上に頑張れます。」
さくらは新井課長代理に感謝しながら、もう無理しないで欲しいと、素直に思った。
「新井さん、カッコよかったな。俺たち幸せだよ。」
植草の子供のような笑顔につられ、いつしかさくらも柔和な表情になり、自然に前向きな明るい気持ちになっていた。
そんなさくらは、翌日NS商事の担当に関して部長の樋口から直々に呼び出されることになるのだ。
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