第4話 一人じゃない
さくらの勤める銀行では部署により多少の違いはあるが概ね19時を過ぎ、日報を書き終えた者から退社していく。
主任の植草から2枚目のメモを受け取っていたさくらは指示通り、会社から少し離れたドトールに急いだ。
植草は報告事項も少なかった為、先に会社を出てさくらが着くころには既にサンドイッチを食べ終わっていた。
さくらは植草を見つけると
「お疲れ様です。ちょっとお聞きしたいのですが。」
と気になることをストレートにぶつけようとした。
「わかってるよ。順を追って説明するから先ずはコーヒー」
植草の柔和な表情で緊張が緩んださくらは、小さく頷き漸く、植草の対面の座席に座った。
植草はさくらが落ち着くのを待って、今日、上席者面談に行ったNS商事の件について話し始めた。
久保田課長の理不尽な扱い者変更に対する課員の反応や植草自身の考えをゆっくりと丁寧に語った。
内容はさくらの気持ちを正に代弁するものだった。
さくらは「新井さんは?」とずっと気になっていたことを確認した。
植草は「俺、新井さん、好きだな」と。
さくらは「そうじゃなくて、帰り際会社にいなかったと思うのですが。」と、
的確な回答をもらえるよう改めて聞いてみた。
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