部活の提案
あれから少しだけ時が過ぎ、桜の花が散ったころ……
「部活をこのメンバーで作らないか?」
「部活……ですか?」
「そうだ天樹、人数もいることだしな、先生方にはもう許可を取ってある」
突然集められたかと思えば……雨降先輩が突然そんなことを言い始めた。部活、部活かぁ……。
「部活って言っても、どんなことをするんですか」
「まぁボランティアみたいなものだな」
ボランティアね……確かに、この学校にはそういった部活はないから、別にいいのかも。質問をした神崎さんは納得した顔をしている。
「どうだ皆、一緒に部活をやらないか?」
そう言われ、僕もみんなも少し悩んだ。だけど、答えは決まっていた。
『やります』
「そうか!活動は来週からだ、覚えておけよ」
「あの……一つ質問いいっすか」
「ん?どうした谷口」
「部活名って、どうするんですか」
「おお!そういや伝えていなかったな!部活名は普通にボランティア部だ」
「あざっす」
そうして、僕らは解散した。来週からボランティア部の活動が始まるが、どんなものが来るか分からない。ボランティアにも種類があるし……。
とりあえず、草むしりちかしやすそうな服とか買っておこうかな……。
翌日、学校にて。
「えー、部活については以上だ。別に強制で入れというわけじゃないが。せっかくの高校生活だし、何かに入ってみるのも悪くはないんじゃないか?」
担任のその言葉で、次第に悩みだす人が増えだした。確かにいろんな部活あるからなこの高校……その分僕たちはもう決まっているものだし別にいいか。
「ねぇ湊君、聞きたいことがあるんだけど」
「どうしたの奏」
「私たち、部活はもう決まっているけどさぁ、見学って言ってもいいのかなぁ」
「さぁ……どうだろう、あ、そうだ、神崎さんにも相談したら?」
「そうだね!おーい!香織!」
「奏ちゃん、何か用?あ、村瀬君も一緒なんだ」
「ねぇ香織、部活の見学って行っちゃだめなのかなぁ」
「あー……私もそれ悩んでいるのよね。後で先輩に聞いてみましょうか」
「うん!」
見学かぁ、そういえば僕も気になる部活があるから。見学だけでも行ってみようかな。その前に先輩に聞かなくちゃだけど……。
「そういえばずっと気になっていたんだけど、奏ちゃんと村瀬君ってどんな関係なの?同じ中学校なのは知っているんだけど」
「えーっと……湊君、これ言っちゃって良いの?」
「うーん、長くなるから、また今度話すよ。あまり掘り返したくない話でもあるからね……」
「そう……まぁ、深くは聞かないわ。でもいつか聞かせてね」
そう言って神崎さんは自分の席に戻っていった。
そうしておおよそ一週間が経った。そして、ボランティア部の最初の活動の日となった。
「今日は学校周りのごみ拾いを行う。各自活動を行うように」
手に持ったトングをカチカチと鳴らしながらごみを探す。ぱっと見た感じ、ごみがあるようには見えない。いいことなのだが、やることがないというのもなんか変な気持ちになる。
こうして何事もなくごみ拾いは終わった。ボランティア部の最初の活動は、こうして成功に終わった。
その後の寮への帰り道……突然、神崎さんが口を開いた。
「そういえば、先輩に聞きたいことがあったんですけど」
「どうした?」
「部活って見学もしくは、兼部ってできますか」
「あぁ、別にいいぞ、大事な時にきちんと出席できるならな」
「本当ですか!ありがとうございます!」
……どうやら、厳しい規制は特に内容でよかった。許可ももらったことだし、せっかくだから明日にでも向かおうか。
神崎さんは、最初に寮で出会ったとき、とても大きな荷物を持っていた。そこまで入りたい部活でもあったのだろうか。最後までボランティア部のことについて渋っていたのも神崎さんだったし。
そんなことを思いながら、僕らは寮までの帰り道を並んで帰った。
君といる世界 ユニーグ @2004724
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