2→3「レーディン海賊団」
「すっごいですわ金銀財宝の山、これならしばらく生活に困りませんわよ」
「紺ちゃんこれめっちゃギラギラ、趣味わる」
「紺ちゃん言うな、てか誰か来る前に早くトンズラしようよ」
アスルトロ家の屋敷の地下、そこには金銀財宝や聖剣などの貴重な品が保管されている。
そんなん屋敷を襲撃し財宝を頂戴しようとする輩がいた。
「あなた達は私の屋敷に何か用かしら?」
メリアに追いついたスワンとエレミリア、屋敷の人間が現れたと言うのに、輩達は一切焦りを見せない。
「あらあなた
「盗人の名前なんて知らないわよ、てか随分大きな態度ね、スワンやっちゃいなさい」
急な指名が入り渋々前へ出る、まさま自分に振ってくるとは思っていなかった。
「随分厳ついのが出てきましたわね、でも私達三人の前では無力」
「でしょうね天下の大悪党『レーディン海賊』の船長リーケッド相手では」
「あなたは私のことを知っているようね」
レーディン海賊団、リーケッド・ブーツが設立した海賊団で船長含む船員全てが女性。
船長のリーケッド以外はそれぞれ特製のメイド服を着用する、これは船長の趣味らしい。
強盗、窃盗、傷害、食い逃げなどの犯罪を生業としていて、特に船長のリーケッド・ブーツは要注意人物で、女性ばかりをさらい(当人も女性)慰みものにしてるとか。
今までさらった数は数百、慰みものにした数は数千と言われている。
「今宵も可愛い女の子を抱きますわよ~、それでは皆さんさような……」
マスケット銃を使い、窓ガラスを破り脱出を試みるレーディン海賊団だったが、それをみすみす許すスワンではなかった。
紫の魔力をまとった聖剣〈
銃口はスワンにむけられる……が
「帰るのは勝手ですが取ったものは返してもらいますよ」
チェーンベールは囮で本命はリーケッドに接近すること、いぶし銀の脚がリーケッドを捉えようと振り上げらるが、一撃が届くことはなかった。
二人の少女のそれぞれの
「っかー、重い一撃、こりゃ聖剣の強化なしじゃ受けきれなかったね紺ちゃん」
一人は和服とメイド服を織り交ぜたような服装の少女、刀を使い鎧の進行を防ぐ。
「紺ちゃん言うな馬鹿朗、これくらい紺一人でも止めれた」
もう一人はチャイナ服とメイド服を織り交ぜたような服装の少女、伸縮剣型の聖剣でスワンの一撃を阻む。
「お二人さんナイスアシストですわ、それじゃシュート」
マスケット銃から離れた弾丸がいぶし銀の鎧に命中、だが弾丸は鎧を貫くことなく弾かれてしまう。
だがリーケッドの狙いは弾丸で射貫くのではなく、当てることにあった。
「聖剣・〈
リーケッドが聖剣に刻まれた魔法を発動するや、
「これが噂のミニマムですか、『弾丸の命中した対象を小さくできる』、厄介な聖剣だ」
聖剣・〈
命中した物を小さくできる聖剣。
小さくできる物の範囲は、形のあるものから魔力のよう実体のない物までに至る。
弾丸さえ命中すれば、あらゆる物を縮小できる。
元々はロングソードだったのだが、リーケッドの手に渡ったさい、マスケット銃に変えられ今の形に至った。
「
「……とても厄介そうだ」
一度の命中ではそこまで縮小化は進まない、形を無理矢理に変えた反動だろう。
しかし弾丸さえ当てれば縮小化できるせいでそのハンデも相殺されている。
(いくら一回の縮小化があまり進まないとしても、弾丸を次々ばら撒かれたら、堪ったものじゃない、そうなると作戦は一つ)
「短期決戦だ!」
チェーンヴェールから魔力が溢れ爆ぜる、その推進力で身体が宙を舞う。
切っ先が捉えたのはリーケッド。
「魔力の推進力に飛ぶなんて、人間離れした芸当、でも」
チェーンヴェールの切っ先は二つの聖剣に止められる。
「船長はやらせないっすよ、ウチらがいる限り、ねっ紺ちゃん」
「そう言うこと、てか紺ちゃん言うな」
「と言うことですわ、もう一発」
スワンの片腕を鉛玉が射抜くと同時にチェーンヴェールがまとう魔力が減少する。
魔力の減少を抑えるためリーケッドを倒そうとするが二人のメイドに阻まれ、そこを突かれ射抜かれる。
結局魔力が減少してしまう。
(メイドから倒そうにも、二人とも聖剣の魔法で身体強化されていて、簡単にはいかない)
リーケッドを守る二人のメイド、
(鎧を外せば……いや無理だ、この前は勢いでできただけ、その勇気はない)
スワンの身を包む鎧には容姿を隠す以外に魔力を抑制する魔法も施されている。
スワンの魔力量は妖精と変わらないほどあり、本人も完全にはコントロールできない。
だからこそ鎧を身につけることで暴走を防いでいる。
「やっと見つけたぞ! レーディン海賊団」
野太い男の声に続き、ドタドタと無数の足音が屋敷の地下になだれ込む。
それは街の保安官達だった、スワンとレーディン海賊団との戦いの最中、メリアが通報していた。
「これの数は相手できませんわ、トンズラしますわよ」
リーケッドは煙幕を巻き地下に煙が充満し、姿をくらませる。
「坊や、力の暴走を躊躇っていたら大切な物を失うわよ」
「……」
スワンの耳元で囁くリーケッド、結局レーディン海賊団を捕獲するとこは叶わなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます