幕間
三人を見送った後の喫茶店の中。一人残った龍二は、誰かへと電話を掛けていた。
「――と、いうのが今回の話だ。予定外の連続で、さすがに疲れたな」
「……え? あぁ。そりゃあ全部、想定の内に決まってるだろ? もちろん、椿の事も含めて。だから、進行は崩さない。このまま続ける」
「あぁ……そういえば、一つだけ想定外ではあったかな……」
「何がって? やっぱり気になるか? 湊の事」
「……よく言えたもんだな。本当は寂しいくせに! いや、分かったって。そんなに怒るなって――ただ残念ながら、お前の置き土産のことは、気づいてないみたいだったけどな」
「まぁ何れしても、これで心置きなくお前にも仕事をしてもらえるな。しばらくサボってたんだ、しっかり働けよ」
「っと……そうそう。折角、面白い話があるのに、忘れるところだったな」
「――だから、アイツの籍は既に置いてあるから、実はそのまま通うだけ。なのに、あの慌てっぷり……見せてやりたかったぜ。……え? いやオチはそこじゃなくてな……言っただろ、既に置いてあるって――子供は勝手に育つなんて、俺には無縁かと思ってたけど、いざ目の当たりにしたら、結構面白いもんだな」
「さて、夜も明けちまうから、報告は以上。あ、最後に一つだけ――いつか、会いに行くってさ。覚悟しといた方がいいよ、虎太郎くん。それじゃあね」
電話を終えた龍二は、これからの事を思い浮かべ、不敵に笑みを浮かべた。
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