第2話 布の登場!?

一時間ほど委員会で話し合いをして、解散した。

僕はまっすぐ家に帰った。


『本を借りるなんて久しぶりだ。早く帰って読みたい』


そう思っていることに、自分でも驚いている。


なんであんなわけわかんない道具の本なんか……


そう思いながら、部屋に着いた僕は本を鞄の中から取り出した。


ページをめくってみる。


「え~っと、何なに? 『クロス・ハウンド』ハウンドの力を借りるために作られた。ん? ハウンドって何だ? ……ハウンド……ハウンド……あった!

魔道具にして最強の水獣。主に爪と寄生している水蛇による攻撃に注意。……ってなんだこりゃ。なんの説明だ? これ……。わけがわかんないよ。まぁ、いいや。……で、クロス・ハウンドの続きは……っと」


そのとき、本当に前触れも無く突然天井から布が降ってきた。


「……? は? なにこれ?」


僕は突然の出来事に間抜けな声を出していた。すると、


『何これ……とは失礼な。どれだけ探したと思っている?』


どこからか声がした。僕が周りを見回すと


『どこを見ている。ここだ。手元にいるだろう?』


「ぬ……布がしゃべった……」


僕は呆然として手元にある布を見ていた。


『布じゃない。マントだ。お前のな』


「は? 僕の? いや、僕はマントなんてそんな……」


『御託はいい。帰るぞ』


その布は僕の右手を包み込んで上にひっぱり上げようとしている。


「帰るってどこへ?」


『どこって、自分の元いた世界に決まっているだろう?』


僕は必死で抵抗しながら近くにあった机の脚をつかんだ。


『何をしている?』


布がしゃべっている。


「僕の家はここだ! 帰るところはここ!!」


すると、布は引っ張りあげる力を弱めたかに見えた。

僕はほっとして机の脚から一瞬、手を離した。

すると、その瞬間


『時間がない。なんで、記憶が無いのか知らないが帰るぞ』


そう言って、ものすごい力で上へと引き上げられた。



そうして、僕は天井に吸い込まれるようにしてこの世界から消えたのだった。 

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