方程式を求めるな





数式が羅列する。








x、y、=。


本当は世の全て、無理やりイコーリングすれば

同じ世界に統合できる気がする。

表裏一体って言葉が存在するこの世界なら、

きっと辻褄は合わせられる。








スマホのライトを無意味に明滅させるのとシャーペンをノックする軽薄なリズムが重なって、教師の後ろにハネた毛先の無駄に熱い惰性へと繋がるのが痛い。






ジリジリと悩ましく鳴く蝉、エアコンの唸る轟音、読み上げられていく数列。




ノックするシャープペンシル、音漏れする隣の席のイヤホン、どこかのクラスの体育中の掛け声。








音。




それは、最も直感で読み取るに値するシグナル。


匂い、味、感覚。なかなか意見の合致しないそれらとは違い、音は明確な輪郭を帯びている。高い、低い、そんな単純な伝達しかできないくせに、それは限りなく緻密めいた合図になる。



RボタンやLボタンで送るシグナルと同程度の意味を持つ、そんな気がする。





xが何かと繋げられて、点と点を経て弧を描いた時チャイムが空間を割った。空気を読めないから堂々としていた。



気圧でチャイムの音が変わって聞こえる。昨日の方がもっと低かったが、気にとめなければ恐らく大差はない。





だけど気付いてしまえばもうそれが伏線であり、耳奥に残る共鳴がこびりつくのだった。





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