穿つは秒針
星雫々
不純の定理とは
涙に濡れた音がした。
外は雨なんか降っていない。だが、嫌に湿度を含んだ空気が覆った。利口に、かつ淑やかにセットされたストレートの髪が顔にかかる。
たまにその中の数本が口内に入ってくるのが嫌で首を横に振ったら、濡れて機嫌の悪い犬が身震いするように舞って、毛先に塗ったワックスの甘い匂いが掠めた。
黒鍵をはじくのは、指なんかじゃなくて欲望だってなんかの小説でみたことがある。
インプットされないからアウトプットが上手くいかない。果たして本当にそうだろうか。人は不純な動機でもないとアウトプット出来ないのではないか。
人を突き動かすものは根気、インプット、努力、熱量、ではなく、不純。
小松菜奈と付き合いたい。もしくはマリリン・モンローでもいいし、なんならビリーアイリッシュでもいい。
不純であるなら不純であるほどいい。叶う、叶わないの問題ではなく、突き動かす理由としては正しい、私はそう思う。
雨よりも打算的。だけど涙の粒よりは至って利口にも思える。音楽室のピアノが呼応する時、私の琴線に連動したみたいにシグナルを出す。
貴方が持つものも不純であればあるほどいい。
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