第11話
優里 side
「キャッ、すみません。……あ、蓮さん。おはようございます。」
そう言うと
「わっ、優里さん。おはようございます。」
と蓮さんはなぜか動転している。
「あ、昨日千咲に会いましたか?」
「あ、はい。俺の意思の確認にイチイチ来るなんて、ホントお節介ですよねぇ。」
蓮さんはそう言って、苦笑いしている。
「あ!優里さん!」
「はい、どうなさいましたか?」
「あの……朝の通勤ラッシュで言うことじゃないと思うんですが、俺……優里さんのこと好きです。」
「え?ふふふっ、確かに言うことではないですね。私も蓮さんのことが好きです。」
「あの……じゃあ、お付き合いしてくださいっ。」
「ふふふっ、はい。是非お願いします。」
ってわけで、三島優里……彼氏が出来ました。
悠真 side
「あ、四宮さん。おはようございます。ん?どうしたんですか?なんかニヤニヤしてますよ?揉まれすぎて、頭おかしくなったんですか?」
え?それは酷くね?
「あ、悠真……おはよう。違う違う。あのな……実は優里さんとお付き合いすることになったんだ。」
「えーっ。」
ビックリして、思わず言ってしまうと
「ん?中村、何事?」
と風見さんに聞かれた。
「あ、あ、あ、あの……四宮さんに彼女が出来たみたいです。」
「ちょっ、悠真……言わないでくれよ。風見に言ったら、全員に知られてしまう!」
そう四宮さんが言うと
「ふっ、四宮……よくわかってんじゃん。」
と風見さんは言って、ニヤニヤしていた。昨日千紘が言っていた『胡散臭い人』を思わず思い出した。
「まぁ、付き合い長いからな。」
「っで、中村は四宮の彼女と顔見知り?」
「あ、はい……彼女、ウチのマンションの住人なんです。」
そう言ってから、
「そういえば、千紘から聞きましたよ?風見さん、千紘んトコのチーフとお付き合いしてるみたいで……」
と小声で言った。
「中村、それ……俺の弱みでも握ったつもり?」
「や、そんなことないっす。」
「ほぉ……っで?四宮の彼女は可愛いの?」
「あ、はい。芸能人で言うと"小松菜奈"ちゃんに似てるんで、まぁ……可愛いですね。」
そう言うと
「ちょっ、悠真……そこまで言わなくていいから。」
と四宮さんに言われた。
「ほぉ。彼女みたいに強気っぽいの?」
「や、それはわからないですね。四宮さん、どうですか?」
四宮さんに聞くと
「ちょっ、それはまだわからん。なんたって、外で会ったことないからなぁ……」
と苦笑いしていた。あ、そうか。
「まぁ、これからじゃないっすか?付き合い長くなると自然と本質もわかりますよ。」
「え?悠真……なんか余裕じゃね?やっぱ結婚決まったヤツは違うなぁ。」
「ふっ、褒めないでくださいよぉ。」
そう言うと
「や、褒めてないからな!」
となぜか風見さんが言った。
「風見……よくわかってんじゃん。今日久しぶりに飲み行く?」
「ふっ、四宮……酒飲めないじゃん(笑) 飲めないからって、相手に飲ませんじゃないぞ。」
と風見さん。そう、四宮さんは飲めないので、相手に酒を勧めるんです🍶ん?俺がこのまえベロベロだったのも、四宮さんのせい?千紘に"プロポーズのやり直し"申請されたのも?
「ふっ、心配すんなって。今日は悠真のおごりだぞ?」
え?勝手に行くことになってる?奢ることになってる?
「はぁー、わかりました。じゃあ、千紘に連絡しときますね。このまえ四宮さんとメシ行ったときは連絡してなくて、晩メシ作ってくれてたんですよね。」
そう言って、苦笑いすると
「ふっ、俺も連絡させなかったからな。それは責任感じてるよ。あ、俺も妹に連絡しとこー。アイツ、最近急にウチに来るんだよなぁ。」
と四宮さんは言った。
「ふっ、大丈夫じゃないっすか?優里さんと付き合ってるんだし。千咲さん、心配で来てたんですよね?」
「まぁ、そうなんだけどな……それは関係なく来るからなぁ。」
四宮さんはそう言って、苦笑いしていた。
「ふっ、まぁまだ時間あるし、退勤までに決めれば良いんじゃね?そろそろ始業時間だし、仕事しますかー。」
風見さんはそう言って、自分の席に戻って行った。
千咲 side
「ふふふっ……千咲、おはよう。」
出勤してきた優里に言われた。ん?なんかルンルンしてる?
「優里、おはよう。なんかあったの?」
「ふふふっ……あ、千咲。昨日はありがとね。」
優里にそう言われて……見当は付いてしまった。
「え?あ、もしかして……お兄ちゃんと?」
「ふふふっ、うん。蓮さんとお付き合いしてるよ♪」
「キャッ、おめでとう。優里がお兄ちゃんとお付き合いしてくれて、とっても嬉しい。」
「私も千咲のお兄さんとお付き合い出来て嬉しい。」
「あ、もう始業時間だね。またお昼休憩に話聞くから!」
そう言って、業務に移った。
退勤後……
「あ、お兄ちゃんからLINE来てる。」
「ん?蓮さん、なんだって?」
「ふふふっ、うん。『仲良い後輩と同僚とメシ行ってくる。留守にしてるから、来んなよ。』だってさー。この後輩って、千紘ちゃんの彼氏かなぁ?」
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