第10話

千紘 side



「あ、そういえば……私たちって"結婚式"するの?もしするなら、千咲さんが『来たい!』っておっしゃってたんだ。」

「ん?四宮さんの妹さんが?」

「うん、さっきね、連絡先の交換もしちゃった。」

「ふっ、ああ。じゃあ、しよっか?千紘、ウェディングドレス似合うだろうなぁ( *´艸`)」

「え?そうと決まれば、ダイエットしなきゃ!……あ、そういえば……千咲さん、『"結婚式"って出会いあるから、羨ましくて……』って言ってたよ。彼氏いらっしゃらないんだっけ?」

「ふっ、ああ。四宮さんがそう言ってたかなぁ?ウチの風見さんとか良いと思うんだけど……」

悠真に言われて、わからなかったので

「風見さん?」 

と聞く。

「ふっ、ああ。なんか四宮さんと同世代で"イケメン"を絵に描いたような人!」

「んー……あ、あの胡散臭そうな人?」

「ふっ、千紘の印象……それなのな(笑)」

「うん、笑顔とかが胡散臭くて(笑) あの人はダメだよぉ。ウチのチーフと付き合ってるモン。」

「千紘のトコのチーフ……あ、なんか"美魔女"みたいな人?」

「ふふふっ、"美魔女"(笑)」

「あー、だから……風見さん、千紘のこと詳しかったんだ。『"若手の中ではいちばんの有望株"だって言ってた。』って風見さんが言ってたんだ。なるほど!誰が"言ってた"のかわからなかったんだけど、チーフかー……千紘のところのチーフと付き合ってたんだな。」

「チーフ、私のこと……そんなふうに話してくれてたんだ。ねぇ?悠真?」

「ん?」

「私ね、ホントは結婚したら、寿退社しようと思ってたんだ。でもね、チーフが期待してくれてるみたいだし、もう少し頑張ってみようかなぁ?」 

「ふっ、うん。特に"家庭に入ってもらいたい"ってワケじゃないから、納得行くまで頑張ってみたら?」 

「悠真……ありがとう。」

「いや、ホントは俺の給料だけでやって行けるか不安なだけなんだけどさ。」

悠真はそう言って、笑った。



蓮 side



いつも通り、最寄駅で電車を降りて、トボトボ歩いていると

「あ、あの……リュック空いてますよ?」

と聞き覚えのある声で、声をかけられた。

「え?あ?ホントですか?……って、千咲。今日はどうした?」

とノリツッコミしてみた。

「それは家着いてから、ゆっくりと……またお弁当買ってこー?」 

「ふっ、ああ。弁当買ってくか。」

外へ出て、弁当屋を経由して、自宅まで帰った。

「っで?話って何?」

弁当を食べながら、聞くと

「お兄ちゃんさー、優里のことどう思ってるの?」

と千咲に聞かれて、飲んでいたお茶を噴き出してしまった。

「千咲、いきなり何なんだよ!」

「優里がねー、『蓮さんの意思もあるから、それ次第』って言ってたよ?あと……『千咲が私のこと紹介しようとしてくれてたのは嬉しかった。』ってね。」

「んー、まず聞くけど……彼女、ホントに今付き合ってるヤツ居ねーの?」

「あー、うん。今は居ないかなぁ?私の口から詳しいことは言えないけど、今は間違いなく居ない。」

「ふっ、そうなんだな。俺もさ、最近居ないから……優里さんとお付き合い出来るんなら、まぁ嬉しいけどな。」

「え?そうなの?お兄ちゃんの中でも優里は高評価なのね。なら、優里に伝えておくね。」

「ふっ、ああ。伝えといて。」

「あ、でも……そのまえに電車で会うか(笑)」

「ふっ、そうかもな(笑)」

「なら、会ったら直接伝えたら?じゃあ……私、夜ごはん食べ終わったし、帰るね。」

「え?泊まってかねーの?」

「うん……明日も仕事あるし、帰る。」

「……そうか。駅まで送ろうか?」

「ううん、良いよ。駅までわりと近いし……じゃあね、お兄ちゃん。また来るね!」

「ふっ、ああ。気をつけて帰れよ。」

そう言うと、千咲は帰って行った。

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