第9話
優里 side
「あ、はい。千咲さん、教えてください。あ、優里さんも。聞いたことなかったですよね?」
「あ、そうだね(笑) 今日みたいに偶然会うことが多いから、聞いたことなかった(笑)」
3人で連絡先を交換する。
「あ!千咲と千紘の共通点、見つけた!ふたりとも名前に漢数字の"千"が入ってる。」
「「え?」」
「ちえみさん、そうなんですか?」
「あ、はい。"千"に"咲く"という字で"千咲"です。ちひろさんは?」
「えと……"千"に"糸偏に広い"で"千紘"です。」
「ああ、"おおづな"っていう字ね。それで"千紘"ですか?」
「ふふふっ、はい。よく『[千と千尋の神隠し]の千尋?』って聞かれます(笑) 私も"咲く"っていう字で"えみ"って読む人、あの女優さん以外でははじめてお会いしました。」
「ああ、武井咲ちゃんね。私も詳しいことはわからないんだけど、"咲く"って元々は"笑う"っていう字みたいだよ。だから、"咲(えみ)"。"千咲"って、気に入ってるんだけどさー、小学生のときフルネームに漢数字の"四"と"千"が入ってるから、からかわれたことあるよ(笑)」
そう言って、千咲は苦笑いしている。
「千咲さん、私も同じ経験あります!名字が"小林"で名前が"千紘"なんで、『大きいのか小さいのか』って(笑)」
そう言って、千紘も苦笑いしている。
「へぇ、2人とも苦労してるのねぇ。私はそうゆう経験ないかなぁ?」
「あー、優里はねぇ……キレイな漢字だもんねぇ。"優しい"に"里"って、素敵。」
「え?そうかなぁ?千咲たちもさ、お兄さんが"蓮"で妹の名前に"咲"が入ってるの素敵だよぉ。」
ん?なんだ?この褒め合い(笑)言っていて、自分で思った。
「きゃっ、優里にそう言ってもらえて嬉しい。そこに"優しい"に"里"が入るのねぇ。」
千咲はそう言って、ニヤケている。
「え?優里さん、四宮さんとお付き合いしているんですか?」
と千紘から聞かれた。
「違う違う。……ちょっと、千咲!誤解招くようなコト、言わないでよっ!」
「ふふふっ、でもさ……時間の問題でしょ?私はそうなったら、嬉しいからさ。」
「もうっ、あ……私たち、次だ。」
「あ、そうですね。千咲さんは?」
「私はー、兄の家がこの先なんで、兄の家に行って、優里のことをどう思ってるのか聞いてこようと思って。」
「千咲はね、ホントは逆方向なんだけど……そのためにわざわざこっち来てくれて。」
「あ、そうなんですね。ホントに兄妹仲良いんですね。」
千紘にそう言われると
「うーん、確かに最近はお兄ちゃんのウチ訪ねるの多いかなぁ?」
と千咲は言っている。
「ふふふっ、千咲は"お兄ちゃん大好き"だもんね。」
「もうっ、優里っ。まぁ、お兄ちゃんのこと好きだから、間違ってはないんだけどさ……」
「ふふふっ。じゃあ、千咲、また明日ね。」
「うん、優里、千紘さん、おやすみなさい☆」
千咲にそう言われて、電車を降りた。
千紘 side
「ふふふっ、優里さん……千咲さん、楽しい人ですね。」
「ふふふっ、うん。明るくて、とても良い子。私、大好きなんだぁ……あ、千紘。あの人……」
優里さんにそう言われて、その先を見ると……悠真。
「あ、悠真だ。」
「ふふふっ、ねっ?同じ電車に乗ってたのかなぁ?」
「ふふふっ、声かけてみようかなぁ?」
そう言って、ツンツン
「悠真っ。」
と声をかけてみると
「わっ、千紘と三島さん。ふたり一緒だったの?」
と悠真はビックリしていた。
「ふふふっ、うん。さっきまで3人一緒だったの。」
「え?3人?」
そう聞かれて、
「あ、はい。蓮さんの妹の千咲と。」
と優里さんが言った。
「え?千紘、四宮さんの妹さんと会ったの?可愛かった?」
「あ、うん。千咲さん、可愛かったよ?」
「あー、そうか。その空間に居たかった。」
なぜか悠真がひとりでガックリ来ている。
「え?どうしたの?悠真?」
「だってさー、四宮さんに妹さんが"本田翼"ちゃんに似てるって聞いてたんだよ。っで……三島さんが"小松菜奈"ちゃん、千紘が"永野芽郁"ちゃん。美女に囲まれてみたかったよ。」
え?私のフィアンセなのに、それ言う?
「はいはい、悠真……一緒に帰ろう?」
「あ、うん。」
「優里さん、悠真一緒でも良いですか?」
そう聞くと
「あー、私……買い物していきます。反対側のスーパー寄って行くんで、ココで失礼します。」
と言って、優里さんは歩いて行った。
「ねぇ……」
悠真に聞く。
「ん?どうしたの?」
「なんかさ、気ぃ使わせちゃったのかなぁ?」
「ああ、たぶんな。……千紘、これからどうする?帰って、晩メシ作るのも大変だろうから……外食してく?」
そう聞かれて、
「あ、そうだね。駅ビルに入ってるお安いファミレスにでも寄って行こうか?お金貯めなきゃだもんね。」
と答えた。そう、引っ越しはしないけど、結婚式と新生活にはお金がかかる。貯めるに越したことはない。
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