第5話
千紘 side
「え?悠真、どうしたの?」
悠真の言ったことがわからず、聞くと
「ふっ、四宮さんが『電車で寄りかかられた』って言っててさ、その女性が『小松菜奈ちゃんに似てる』って言ってたんだよなぁ。」
と悠真は答えた。
「え?そうなの?四宮さん、三島さんに寄りかかられて、迷惑だったのかなぁ?」
「や、悪い気はしなかったんじゃね?三島さん、可愛いモンな。まぁ、千紘も可愛いんだけどな。」
悠真はそう言って、私のことを抱きしめてきた。
「え?悠真?急にどうしたの?」
「千紘、結婚しない?」
「え?結婚?」
「ああ、"結婚"。その四宮さんがさ、『千紘ちゃん、もうすぐ30だろ?それまでに結婚したいんじゃね?』って言っててさ。ってか、自分の歳考えろよな(笑) 俺も千紘しか考えられないし。……っで?どうですか?」
悠真と"結婚"か……
「ふふふっ、うん。私も悠真と結婚したい!」
「千紘!」
悠真は私のことを強く抱きしめてくれた。
「ふふふっ、でもね……さっきのがプロポーズじゃ嫌だなぁ。」
「え?」
"やり直し"を申請しました。
「もう少しロマンチックなのが良いかなぁ?」
「"ロマンチック"……わかった。」
え?ホントにわかったの?
「悠真、お腹いっぱい?悠真のぶんも夜ごはんあるんだけど……」
「んー、明日の朝メシにする。今はメシより千紘食べたい。」
え?
「ふふふっ、仕方ないなぁ。一緒に寝室行こ?」
夜ごはんもそこそこに悠真と寝室へ向かった。
悠真 side
朝起きて、千紘と2人向かい合って朝メシを食べる。千紘は冷凍庫に入れておいたレーズンの食パンと朝に新しく作った目玉焼きと炒めたウインナーを食べて、俺は昨夜千紘が作ってくれたオムライスを食べる。
「悠真、ホントにいいの?」
「ああ、俺が朝メシの洗い物しとく。」
「ふふふっ、じゃあ……私、歯ぁ磨いて、メイク直して出るね。」
「ふっ、ああ。俺も洗い物終わったら、出る。」
「うん、じゃあお互い仕事頑張ろうね。」
「ふっ、ああ。お互い頑張ろうな。」
そう言って、洗い物をしてからウチを出る。
蓮 side
「キャッ、すみません。……あ、千咲のお兄さん。またお会いしましたね。」
「ふっ、はい。あの……優里さんもいつも同じ車両ですか?」
「ん?"も"?お兄さんも、ですか?」
「はい、いつもこの車両なんです。最寄り駅で階段から程よく遠くて、そんなに混んでないので……って、"お兄さん"って呼ぶの止めませんか?あ、俺……四宮蓮(しのみやれん)って言います。」
「あ、じゃあ……蓮さん、で。私、三島優里(みしまゆうり)です。そういえば、昨日千紘さんから聞きましたよ、蓮さん……中村さんの会社の先輩なんですよね?」
「え?優里さん、悠真たちと知り合い?」
「あ、はい。同じマンションに千紘さんたちが住んでいるんです。」
「ふっ、そうなんだね。俺も前に悠真のウチに遊びに行ったことある。自分のウチからわりと近いし。」
「ふふふっ、そうですよね。蓮さんのおウチとわりと近いですもんね。ウチの2駅先にお住まいだと千咲から聞いてます。」
「ふっ、アイツ……そんなことも言ってたの?」
「ふふふっ、はい。『またお兄ちゃんのウチに行くときは優里と帰ろう。』って言ってました。」
「ふっ、アイツ……優里さんしか友だち居ないんじゃね?」
そう言って、笑う。
「え?そんなことないですよ……って、否定したいトコですけど……千咲、私といちばん仲良いみたいです。蓮さんに了承してもらえたら、私のことを紹介したかったみたいです。……あ、コレは聞かなかった体でお願いします。」
え?
「あ、はい。じゃあ、俺……ココなんで、失礼します。お互い仕事頑張りましょう。」
そう言って、電車を降りた。ふーっ……"何食わぬ顔"してたけど、さっきの彼女の言葉に思いっきり動揺してました。千咲が優里さんを紹介しようと思ってたなんてさ。優里さん、今彼氏居ないのかなぁ?可愛いし、てっきり居るのかと思ってた。
「あ、四宮さん……おはようございます。アレ?今日はいつもと顔違いますね?」
そう悠真から言われた。
「悠真、おはよう。優里さんから聞いたぞ、優里さんと同じマンションに住んでるんだよな?」
「あ、はい。ウチより下の階なんですけど、同じトコに住んでます。」
「ふっ、そうなんだな。……優里さんから、ウチの妹が俺に『了承してもらえたら、私のことを紹介したかったみたいです。』って聞いてさ……正直戸惑ったよ。」
「え?そうなんですか?先輩は三島さんのこと、どう思ってるんですか?」
「や……正直さ……優里さん、可愛いし、てっきり彼氏居るのかと思ってたよ。今彼氏居ないってこと?」
「あ、はい。男性と居るところ見たことないっすね……あ!先輩に報告があります。俺……千紘と結婚します。」
悠真の言葉にビックリして、
「えーーっ。」
思わず大声で言ってしまうと
「先輩、しーっ。」
と悠真に注意された。
「ふっ、四宮……何事?」
風見にそう聞かれて、
「や……悠真、言っていい?」
と悠真に聞く。
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