第3話
優里 side
「ふっ、優里さんにそう言ってもらえて良かったです。これからも千咲のこと、よろしくお願いしますね。」
「いえ、私のほうこそ……。」
「あ、僕……ココなんで失礼します。」
「あ、はい。お仕事頑張ってくださいね。」
そう言って、お兄さんと別れた。
蓮 side
「四宮さん、おはようございます。ふっ、今日も揉まれたみたいですね。……アレ?今日はココないみたいですね?」
後輩の悠真がスーツの襟元を指差して言った。
「あ、ホントに?ふっ、このまえ俺に付けちゃったから口紅してなかったのかな?」
「あ、また……寄りかかられたんですか?」
「ふっ、ああ。あ、彼女……妹の同僚だったよ。今日はその件について話してたんだ。」
「わっ、そうなんですね。っで、その女性……可愛かったですか?」
「ふっ、悠真……いつもソレばっか(笑) ああ、可愛かったよ。妹曰く『一応"客商売"だし、たぶん顔採用ある!』だってさ。」
「ふっ、そうなんですね。じゃあ、妹さんも可愛いんですか?」
「ん、千咲は……そうだな、女優さんで言うと"本田翼"みたいな?豆柴みたいな性格でウザイよ。」
「え?"本田翼"さん?可愛いじゃないですか!……今お付き合いしてる人は居るんですっけ?」
「や、居ない。」
「なら、ウチの会社の人、紹介したら良いじゃないですか?」
「え?あー、ウチの会社のヤツな……俺が仲良くしてるの風見とかだろ?アイツは女慣れしてるからダメ🙅♂️妹が泣かされるの見たくない。」
悠真とそう話していると
「ふっ、四宮……何が俺じゃダメだって?」
と後ろから声をかけられた。
「風見……や、特には。なっ、悠真?」
「あ、はい。あ、もう始業時間ですね。仕事に移りましょう。じゃあ、四宮さん……続きは昼休憩に。」
悠真にそう言われて、俺たちは仕事に移った。
優里 side
「あ、優里!おはよう。」
会社に着くと、千咲に声をかけられた。
「千咲、おはよう。あ、あの男性……千咲のお兄さんだったよ。」
「あ、今日も会ったんだね。アイツ、なんか言ってた?」
「ふふふっ、うん。『たまにウザイでしょ?』って言ってたよ。」
「え?私が"ウザイ"?自分のほうが……」
「ふふふっ、そう言い合えるのは仲良い証拠よ。この歳になって、兄妹仲良いの憧れる。」
「ふふふっ、まぁ……兄とはこの歳になっても仲良いかなぁ?兄はね、努力型なの。」
「"努力型"?」
「うん、私はね……あ、コレ言っちゃって良いのかなぁ?私はね、天然で勉強出来るんだけどさ、兄は出来ないぶん努力で埋めてたの。小学生のとき、私が勉強してなくて98点のテストも兄は勉強して100点取っててさ。まぁ、内容は違うんだけどね(笑) お父さんとお母さんは私よりお兄ちゃんのこと好きなのよ。」
「ふふふっ、そうなんだね。……あ、だから、お兄さん……目ぇ悪いのかなぁ?」
「あ、うん。それもあるかも……だけど、遺伝もあるのかなぁ?私も目ぇ悪いし。まぁ、私は子どもの頃から本読むの好きだったんだけどね。」
そう、千咲も実は目が悪い。普段はコンタクトでカバーしてるらしい。
「ふふふっ、そうなのね。あ、もう始業時間だ。またお昼休みに話そう。」
そう言って、お互い仕事に移った。
蓮 side
昼休憩。
「ふっ、危なかったですね。まさか風見さんに聞かれてるとは……」
「ふっ、ああ。危なかった。……っで、悠真は?なんかあった?」
「や、今朝ビルのエレベーターで千紘と一緒になったんですよ。千紘、『同じ家から出てるのに、ココのエレベーターで会うなんて……なんか不思議だね。』って言ってました。」
「そうなんだな。言葉通りなんじゃね?」
「はい、たぶん。」
「っで?結婚はしねーの?」
「え?"結婚"っすか?四宮さんに彼女出来たら、考えます(笑)」
「え?俺?良いって。そんなこと言ってたら、あっという間に年取っちゃうぞ?(笑) 千紘ちゃん、もうすぐ30だろ?それまでに結婚したいんじゃね?」
「そうなんですよね、今年誕生日が来たら、30になります。ってか、四宮さんこそ来年(?)誕生日来たら、40になるじゃないっすか?考えてるんですか?"結婚"?」
「や、考えたこともないな。千咲は心配してるだろうな……」
「ふっ、なら……せめて彼女作ってくださいよ。その女性とかどうなんですか?」
「や、彼女……可愛いからさ、彼氏居るだろ(笑)」
「じゃあ、妹さんとどっちが可愛いんですか?」
「え?タイプ違うからな。比較は出来ない。妹は"本田翼"に似てるんだけど、彼女は……あ、あの"小松菜奈"に似てるんだよな。」
「あー、それは比較出来ないですね。千紘も可愛いですけど、お2人とはまったくタイプ違うので、比較は出来ないです。」
「え?悠真……それ、ノロケ?確か同棲して、もう長いよな?」
「や、ノロケじゃないっすよ。もう付き合って3年で、付き合いはじめてすぐ同棲したんで。」
「それはさ、千紘ちゃんもプロポーズ待ちなんじゃね?」
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