第2話
優里 side
「うん。あ、確か……その後輩は彼女とエレベーターで一緒になったって言ってたかなぁ?」
「ふふふっ、なら……千咲が心配することないんじゃない?」
「うーん、ウチの兄……奥手だからなぁ。私が見つけてあげるのがいちばんなんだよね。良い人も紹介出来るしさ。」
そう千咲と話していると、私が降りる駅の1つ前になった。
「あ、私……次だ。」
「あ、そうだね。今日は優里と話せて楽しかった。またお兄ちゃんのウチに行くときは優里と帰ろう。」
「ふふふっ、うん。私に用事がなかったら、是非。じゃあ、降りるね。お兄さんによろしく。」
「うん、言っとく。『私の同僚が……』ってね。」
千咲にそう言われて、電車を降りた。
蓮 side
最寄り駅で降りて、トボトボ歩いていると
「あの……リュック空いてますよ?」
と女性に声をかけられた。ん?この声は……
「千咲……また来たんだな。」
妹の千咲だった。
「ふふふっ、だって……ウチに帰っても、1人で夜ごはん食べるだけだし、寂しいじゃん。久しぶりにお兄ちゃんの顔見て食べようと思って。……ふふふっ、やっぱり付いてるのね。」
千咲はそう言って、襟元を指差した。
「ん?『やっぱり?』」
「うん、私の同僚がね、『前に居た男性に寄りかかる形になっちゃったの。』って言ってたんだ。『ヒール履いて、目線が同じくらいの眼鏡の男性。』って言ってたから、ひょっとしてお兄ちゃんかなぁ?って。」
「ふっ、そうなんだな。彼女、大丈夫そうだった?」
「うん、仕事もソツなく熟せてたし、大丈夫だと思う。」
「ふっ……なら、良かった。」
「うん、優里は大丈夫。お兄ちゃんこそ大丈夫だったの?」
「ああ、大丈夫だった。まぁ、着いたときには例の後輩に冷やかされたんだけどな。『その女性は可愛かったんですか?』ってさ。見てる余裕あるわけないだろ(笑)」
「ふふふっ……優里、可愛いよ?ウチ、一応"客商売"だしさ……たぶん顔採用ある!私も可愛いでしょ?」
「え?それ……自分で言う?他の人には言わないほうが良いぞ。引かれるから。」
「ふふふっ、うん。まぁ、お兄ちゃんだから言ってるんだけどね。……あ、お弁当でも買ってく?」
「ふっ、ホントにウチ来るんだな。……ウチ帰っても、冷蔵庫に何も入ってないしな。買ってくか。」
千咲に言われて、ウチの近くにある弁当屋に寄って行くことにした。
「お兄ちゃん、買ってくれてありがとう♡……ねぇ?」
「ん?」
「明日お休みだし、泊まって行っても良い?」
そう、今日は金曜日。明日から2日間はあの満員電車に乗らなくて済む。
「ふっ、ああ。良いけど?」
「やったー。あ、なら……コンビニでメイク落とし買ってこー。確かお兄ちゃんチに置いてあるの空になりそうなんだよねぇ。」
「あ、なら……寄ってこ。ついでに朝メシのパンでも買ってくか。」
「ふふふっ、うん。お兄ちゃんの好きなタピオカミルクティーも、ね。」
千咲にそう言われて、ウチから徒歩5分のコンビニに寄って行くことにした。
優里 side
「キャッ、すみません。……あ、このまえの!先日はどうもありがとうございました。」
また後ろから押されて、前に居た男性に寄りかかる形になってしまった。顔を上げるとこのまえの男性で。
「ふっ、こちらこそ……あ、あのウチの妹がお世話になってるみたいで。」
え?妹?千咲かなぁ?
「いえ……あの……"妹"って、千咲さんですよね?私こそ、仲良くしてもらってます。」
「ああ、そう"千咲"。アイツ、たまにウザイでしょ?」
「え?そんなことないですよ。明るくて、とても良い子です。」
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