第9話 集合と、出発

「すまない、マルーイ・テッペ。少し遅れてしまったね」


「いえ、ジャン師マスター。どうかお気になさらず」


 "寂柳亭"の玄関口に準備万端整えて立っていたマルーイは、そういって朗らかに笑って見せた。マルーイはジャンより少し重装で、ロングソードを右腰に佩き、全身を皮鎧に包んでいる。荷物を持参していないところを見ると、もう街門の外に車を用意しているのかもしれない。


「準備はできているね」


「万全です」


 マルーイは自信を持って返答した。ジャンは期待通りの応えに大いに頷くと、サッカウに部屋と金庫の鍵を預けて"寂柳亭"を出立した。


「ご無事のお帰りをー! お話、いっぱい聞かせてくださあねっ」


 サッカウがぶんぶんと手と尻尾を振ってジャンとマルーイを見送ってくれたので、二人は顔をほころばせながら数度手を振り返してからきびすを返した。


 目指すは街門、さらにはその先の迷宮ダンジョンである。ひと月ぶりの迷宮探索に、ジャンは密かに胸を躍らせていた。


「さて、それでは行くとしようか、マルーイ」


「はいっ、ジャン師マスター・ジャン

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