たまに食べるハンバーガーって美味しいよね
数日後
僕は彼女とスタジオではなく、近くのカフェに来ていた。
彼女はここのハンバーガーが食べてみたかったそうなのだが、僕は彼女がこの前言っていた件の話をするんだろうと、なんとなく感じていた。
ハンバーガーが届くと彼女は嬉しそうに何枚か写真を撮り、口を大きく開けてガブっと行った。
豪快な食べっぷりに僕は笑った。
彼女は思い出したように話を切り出した。
「あっ!それじゃ!蓮さんに私のこと話しますね」
そう言って彼女は彼女の過去を語りだした。
「えーっとあれはいつかな?中学上がる前かな?
体育の授業を受けてて、なんか息苦しいなって思ったら倒れてたみたいで、数日後に病院で目を覚ました時には、身体にいろんなチューブが刺さってた。
もともと身体弱くて、ちょっと無理しちゃっったかなって思ったんだけど、病気のせいだってわかって……。
それからずっと病院で生活してて、最近調子が良かったので一時退院を許可してもらったんです。
だから曲も早く作りたくて……。
あの広場は音楽をやっている人が多いのでいろんな人に話しかけて曲の作り方とか聞いて回っていたんです。ただ意外とイチから曲を作ってる人って少なくて。
蓮さんの曲は、オリジナルだってビビッと来たので、無理矢理お願いしちゃいましたって感じです。他に聞きたいこととかありますか?」
「えーっと情報が多過ぎてとりあえず整理してもいい」
僕は気になったことがいくつかあったものの聞いていいものか、躊躇っていた。
病気で一時退院中で……まだ病気は治っていないってことだよな……。
「えーっとちなみになんで曲を作ろうと思ったの?」
「あーそこ聞いちゃいますか」
彼女は窓から外の方を眺めながら答えた。
「……になりたかったからです………」
なりたかったものが何なのか全く聞こえなかった。
「なんて??」
「……アイドルになりたかったんです」
彼女は下を向いた。
僕は今からでも目指せるんじゃないかと言おうと思ったが、喉からでかけた言葉を飲み込んだ。
彼女はあくまでも一時退院なのだ。また病院に戻ることがわかってて簡単に口に出していいものではない。
「……でも作ってる曲はアイドルって感じじゃないと思うけど??」
「いや……いいんです作る曲はアイドルっぽい曲じゃなくて」
この話はここで終わりといわんばかり、彼女はお皿に残っていたポテトを口へと運んだ。
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