予期せぬ再会

翌日

僕は寝坊した。

スタジオからの着信で目を覚ました。

「……はい……」

「蓮さんっすか?」

「???」

よく知っている声が聞こえてきた。

「あれ?れんさーん?起きてますー??」

バンドメンバーの琉(るい)のようだ。

「る……い?」

「そうですー!るいですー!蓮さん元気ですか?」

「……」

「おっかしいなー返事がない。伊織さん電話切っちゃっていいっすか?」

「琉電話変わって」

「はーい」

近くにいたもう一人のバンドメンバーの伊織と電話を変わったようだ。

「八雲と約束しているっていう朝霧という女の子が来ているのだが、知り合いか?」

「知り合いです……」

「そうか。1番のスタジオに案内しておく。早くくるように」

「すいません」


僕はスタジオへ到着すると、急いで1番のスタジオへ向かった。

スタジオのドアを開け、「申し訳ございませんでした」と遅刻したことへの謝罪した。

なんの返答もない。

ゆっくり頭を上げ、スタジオ内を見渡すが誰もいなかった。

コンコン

ドアを誰かが叩いた。

僕はドアを開けると、カメラを持った琉がいた。

「ドッキリ大成功!!」

僕は状況が掴めなかった。

琉はカメラの撮影をオフにすると、

「蓮さん、彼女は1番じゃなくて2番のスタジオに入ってもらってます。あ、後これ企画として動画上げちゃうんでよろしくお願いしまーす」

「……」

「いやー昨日零さんから、蓮さんがスタジオ来てたって聞いたんで、今日も来るかなーって思って、伊織さんと一緒に待ってたんですよー。そしたら蓮さんと約束してるっていう女の子がいるしびっくりしましたよー。まぁ蓮さんが寝坊するのはいつも通りで安心しちゃいましたけど」

「……」

「あ、じゃあ俺この後用事あるんでまたー」

そう言って琉は颯爽と去っていった。

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