第4話(中)終末世界は今日もいつも通り

「のう、ノゾミ。人間の最も良い年齢とはいくつなのじゃろうな?」

 旅の途中、赤い炎がパチパチと爆ぜ、空に星々が浮かびつつもそれらのほとんどが巨大な陸塊により見えず、ほぼ真っ暗な空を見上げながら、唐突にユウはそのようなことを尋ねてきた。基本的にそのような問いは、特に意味もないものであるとノゾミも知っているため、特に何も答えない。すると、ユウは勝手に話を続けた。

「子は大人に憧れ、大人は子を羨望する。結局のところ、いくつになっても人間は今の自身ではない齢を渇望しているように見えないかのう?」

 ノゾミは話を聞き流しながら、手に持った串に刺さっている肉を噛み千切った。肉汁が口の中に溢れ、旨味が充満する。さらに調味料として塩を使っているので、程よく効いた塩味が新たに刺激を与えてくれる。ノゾミの目の前では同じように肉を口に入れたユウが、これ以上ないというほど満ち足りた表情をしていた。

「うーむ、ノゾミは料理の才能もあるのう」

 単に肉を串にさして焼いただけなのだが、ユウにとって美味しい事には変わりない。

 今回の肉は、「救世の家」から盗ったものではなく、近くで獲れたアナグマの肉だ。

 現在、ユウとノゾミは山の中にいた。「救世の家」だった船を真っ直ぐに追いかけた結果、山中に突入した形だ。ノゾミはあずかり知らぬことだが、ユウの頭には、遭難したらそれはそれで面白いというような考えがあったことは秘密である。

「にしても、よくこんな新鮮な肉をゲットできたのう?」

 感心したようにユウが呟く。別にノゾミもがっつり狩猟をしたわけではない。ちょうどユウが見ていないときに、傷を負い、弱ってよたよたと歩く動物を見つけた捕獲しただけだ。そもそもノゾミとしてはそれを食糧にするという発想もなかった。ただ近くにいたので両手で持ちあげただけなのである。ノゾミの抱いた動物を見た瞬間、ユウの目がきらりと光り、気づいたときにはアナグマはユウの手に渡り介錯されていた。

 確かに可哀そうだと思いはしたが、ノゾミにとっても仕方がないことであると割り切っている。

 こんな終末世界では、人間も弱肉強食の生態系に交わるほかないのだ。終末世界しか知らないノゾミにとって、それは当たり前のことだった。

「さて、話を戻すが、確かに子供は大人になりたいと願い、大人は子供に戻りたいと望む」

 話を戻さなくてもいいのに、と思いながらもノゾミにそれを止める気はない。

「しかし、このくらいの年齢でありたいという希望が両者にあると思うのじゃよ。そこの共通したところが、人間の最もよい年齢なのではないかと思っての」

 肉を食べ終わり、いつまでこの話が続くんだろうと思いながらも、その内容は聞き流してほとんど覚えていない。

「普通に考えると二十代と言ったところじゃが、その辺りは社会に交わり始め、むしろ大変と思う可能性が高い。なればその少し前、18や19辺りが該当年齢だと思うのじゃが、ノゾミはどう思う?」

 ただ聞いているだけだったノゾミに対して、急に話を振られた。別に答える義理は無いのだが、話を振られた以上なぜだか答えなければならないという義務感に駆られる。

「……私は、別に。大人とか子供とか、もうどうでもいいので」

 一応答えたそれは、恐らく期待された答えではなかったが、ユウはそれで満足そうにする。

「ふむ、確かに今の時代そんなことを考える者の方が少なかろうな。まず子供が少ないし、大人もその日生きるので精一杯じゃ。さらに社会という物はとうの昔に崩壊しておるからのう」

 ユウは最後の肉の一切れを口に入れる。その顔はとても嬉しそうな笑顔を浮かべていたが、同時に名残惜しそうな顔も垣間見えた。

「まあ、考えるだけ無駄と言われたらそれまでじゃが、それはそれでつまらぬからの。たまにはどうでもいいような思考を巡らせるのもいいものよ」

 パンと手を叩いて、飯時の終わりを告げると、ユウは寝袋を広げ始めると、ノゾミも大人しく寝袋に入る。

「とりあえずわしが見張りでもしとくからのう、わしが眠くなったら起こすぞい」

 そんな、少し抽象的な見張り交代の時間が告げられると、ノゾミはすぐに意識を手放した。


 目覚めると既に日は高く昇り、明るい景色がノゾミを出迎えた。

 ノゾミの目覚めはいい方である。すぐに目が覚めて、周囲の状況を確認する。これは幾日か続いた野宿生活での習慣である。目覚めたあとにいつの間にか遠目に“終焉の徒”が見え、急いで離脱なんてことがあったので、それ以来忘れずにやっている。ちなみにその時は遠くだったのもあり、逃げおおせられたが、もし気付くのが少しでも遅れていたらと思うと、ノゾミは想像するだけで鳥肌が立った。

 焚火、いつも通り。座りながら寝ているユウ、まあこれもいつも通り。少し遠くを見回しても異常は見られない。そして、すぐそば。

「……っ!」

 それに気付くと、思わず跳びあがって驚いてしまった。


 すぐに起き上がろうとして、寝袋に入っていたためにごてんと転がってしまう。とりあえず寝袋から落ち着いて出ると、ソレを確認した。

「……誰?」

 ソレは、幼い子供だった。ユウはもちろん、ノゾミよりも幼く4、5歳くらいだろうか。鏡のように艶のある綺麗な銀色の髪はぼさぼさで長く伸びており、男か女かはよくわからない。尤も、このくらいの年齢であれば性差はあまり関係ないだろうが。ノゾミが寝ていたすぐそばに、寄り添うようにして眠っている。

 何者かもわからぬため、つんつんと頬を突いてみる。少し身じろぎしたものの、ほとんど反応しない。しかし、身じろぎしたという事は死んでいるというわけでも無いようである。

 少なくとも危険はないようなので、どうしようかと思案する。ユウを今すぐ起こして相談するのも一つの手だが、できればそれはしたくない。

 うんうんと唸っていると、その子供の目がかっと開き、勢いよく飛び起きた。

「ばぁっ!」

「わっ!あ!?え!?」

 急な子供の行動に、もう一度ノゾミは跳びあがる。子供の方は、悪戯がうまくいったと満足げな様子だ。ノゾミも子供に驚かされただけであるという事をすぐに理解し、同時に今の物音でユウが目覚めていないか確認する。座りながらもぐっすりと寝ているようで、ピクリともしなかった。座って寝るのに慣れているのだろうか。

「あっははー、ノゾミ、驚いた驚いたー。その反応、悪くないね。いや、むしろいいねー」

 子供は大きな声を上げて笑っている。ただ、笑い方はどことなく感情の起伏が足りないような気がする。

「えっと、その、君は?」

 「救世の家」でも最年少であり、一番年の近く見えるユウも年上なので、己よりも齢が下の相手に対しての距離を測りあぐねるが、とりあえず相手が誰であろうと名前を聞くのが妥当だろうとそれを尋ねる。

「ボクら?ボクらはねー……」

 と、その子は名乗ろうとして、その言葉が尻すぼみに消える。一瞬辺りを見渡す素振りを見せ、そして、再び口を開いた。

「えーっと、ボク……はー、キョウ!うん、キョウっていうんだ!よろしくー!」

「そ、そっか。私は……ってあれ?」

 ノゾミは自分も名乗ろうとして、違和感を覚える。

「ま、いっか。私はノゾミ。それでどうしてここに?……その、家族、とかは?」

 十にも満たない幼い子供が一人でふらついているとは考えにくい。それは単に普通は幼い子を保護者が見守っているものだから、等と言う理由ではない。この世界はいかに幼かろうと同様に牙を突き立てる。誰かの庇護の無い子供など、到底生きられやしないのだ。

 では、なぜその家族がいないのか。ノゾミの頭には最悪の、そして同時にこの世界によくある想像が頭に浮かぶ。

「あははー、家族?ちょっとはぐれちゃったんだよねー」

 危機感など微塵もない様子で、キョウは話す。少しくらい不安や心配そうな様子を見せてもいいようにノゾミは思うのだが、キョウがそのように見えないのは、それを危機と感じていないからか、気丈なだけか。

 もしくは、そのようなモノは欠落したか。

 ただ自然の弱肉強食な世に戻るだけならば正常でも、歪んだ世界は人類に、特に無垢で幼い子供を容易く歪め、壊す。それをノゾミ自身が認識しているのかどうかはさておき。

「えぇ、ちなみに、どのあたりではぐれたの?」

 キョウよりもノゾミの方が心配な気持ちになって、家族の安否や居場所を探ろうと質問する。

「んー、変なお化けみたいなやつに襲われそうになったあたりではぐれちゃったからなぁ。どこだっけ?」

 子供らしいと言えば子供らしい返答に、ノゾミは脱力する。本人が分からなければどうしようもない。

「まあでも、あっちにはパパママ的な感じの人も居るからだいじょぶだいじょぶー。まあ、ある意味ではあっちの方か心配だけどねー」

「的な感じの人って」

 そんな会話をしつつも、キョウの口から“家族”の話が飛び出すたびに、心がざわつきつつも懐かしい気持ちになるのをノゾミは感じる。それはまるで、幾匹もの蚯蚓が這いまわっているような強烈な不快感であり、同時に陽だまりのように人肌よりわずかに暖かい温度に全身が浸かるような、そんな感覚だった。

 首を振ると同時にその感覚も振り払う。

「んー、じゃあお化けにいつどこで出会ったかわかる?」

 十中八九その「お化け」は“終焉の徒”であろう。完全に襲われていたならば生存は愚か、その遺体を探索することすらも不可能だろうが、キョウが襲われそうになって、助かってここにいるという事実は、キョウの家族も助かっている可能性が高いという事を示唆してくれている。

「いつだっけなぁ、昨日は無くて、その前もなくて、その前も違かった気がするし、えーっと……」

 指を折って数え上げ、キョウは拳を上に高々と突き上げた。

「五日前!場所はー、あの辺!」

 拳から人差し指のみ伸ばし、ある一点の方向を指差した。

 そこは、ちょうどノゾミたちがこれから向かう先の方向だった。

「……そっか、私たちも今からあっちに行く予定だから、一緒に行こうか?」

 ユウの判断を仰ぐ前に、自分の独断でそれを尋ねる。共に旅するなら意見を聞くべきとはノゾミも思うが、それをやりたくなくて今決めてしまった。

「じゃあ、行くー」

 キョウもあまりよく考えずに答えた。

「じゃあ、もう一人、旅の……仲間、がいるから起きたら一緒に出発しようか」

 ノゾミは安心させるようにキョウに笑いかける。キョウは特に表情を変えるでもなく、元から笑っていたその顔で、ノゾミを真っ向から見返した。

 そんな風に二人の幼い子供たちが親睦を深め合っていたとき、

「おや、その女は誰じゃ?」

 いつの間にか起きていたのか、ノゾミの後ろで静かに白い着物の少女が立っていた。


「なるほどのう、まあ、いいんじゃないかの?」

 ある程度顛末を聞いたあと、ユウは特に動揺するでもなく簡潔に承諾した。

 いま彼女の手には傍目にはとても食べられそうに見えないカチコチに固まったパンのようなものが握られている。一口食べるごとに相当の時間をかけていた。

「まあ、面白そうかはともかく……水に戻すタイプやしれんかったのう……気になる点が無いと言えば嘘になるしのう……ただ、まあこの感触も悪くない……その女、の子?キョウと言ったか、主の家族構成を聞かせてもらえるかの……むぐ、なんだ、場所によって硬さが違う!?」

「人と話しながら食事の感想も口にするってユウはお行儀悪いねー、あっははー」

 ノゾミがすでに見慣れてしまって見て見ぬふりをしていたあたりに、キョウは歯に衣着せぬ物言いで突っ込んだ。

「うん?あー、まあ、いいではないかの、今どきいちいちマナーなんぞ気にする者は少ないしのう」

 そういう者から死んでいったしの、などという言葉に、なぜかキョウがしきりに頷いている。手に残った残りかすをぺろりと舐めとると、ユウはキョウに話の続きを促す。

「ボクの家族?双子でボクらの半分が一人、パパママが一人ずつ、ボクら含めて四人だねー」

「うむ、少々言い方が回りくどくて分かりづらいが、主の双子の片割れと父母がいるという事で違いないな?」

「おー、そうそう、それで違いない」

 キョウが手を叩いて、まるで褒めているかのように頷く。

「とはいえ、進行方向に“終焉の徒”がいるのか、これはちと面倒なことじゃのう」

 これまでの話を総合し、ユウが一つの懸念点を挙げる。

「ほれ、ノゾミ。船をわしらは追いかけとるわけじゃが、流石に“終焉の徒”との遭遇は避けたいわけじゃ。キョウが五日前に見たという「お化け」じゃが、まあ、五日と言えばそこそこに遠いかもしれんが、≪終焉を告げるモノ≫が移動している可能性もあるからのう、まあ、必ずしも近くにいるとも限らんが、なんにせよ異常はどうにか早めに見つけて迂回していかんといけないのう」

 とはいえ、方位磁石がある訳でも無し、星から正確な座標を割り出せるような能力もない、道を逸れればそれだけ見失う可能性が高くなる。

 ノゾミもそのことは十分にわかっている。確かに道を逸れればそれだけ道に戻るのが難しくなるし、さらに言えば道を逸れたからと言ってキョウの家族が見つかるとも限らない。

 ユウは、キョウを見て、次いでノゾミを見据えた。

「それでも、そやつの家族を探そうと思うのかのう?」

 ノゾミの今一番の目的は、「救世の家」だった船を追うことだ。もちろんその後のことはまだ考えられない。追いついた後にどうするかもわからない。それでも、己の帰るべき場所はあの家なのだ。ノゾミの胸にあるのは、ただそれだけだった。

 それでも。

「……探し、ます」

 “家族”という物を、ノゾミは見捨てておけなかった。

「それに命を賭すことも厭わないかの?」

 それは誇張でもなんでもなく、“終焉の徒”の迫る中で人を探すという事は命を捨てる行為に他ならない。

 黒い瞳で、ユウの髪のかかった向こう側の瞳を見据え、無言で頷く。彼女の横には、会話を理解しているのか、していないのか、能天気に笑顔を貼り付けているキョウが座っていた。

 それを見て、白い着物の少女が嗤った。

 それはどこか歪で、ナニカが欠落していて、そして、どこの誰よりも“愉しそう”だった。

「ならばよかろ。しばらくは予定通りに真っ直ぐ行くが、“終焉の徒”にぶち当たったあたりで、ちょっくら人探しと興じるかのう」

 ユウの顔がどこか薄ら寒く、不気味に思えたノゾミが瞬きした後には、いつも通りの少し幼げであるものの、どこか達観した様のある顔に戻っていた。しかし、一瞬見たその顔がノゾミの頭にどうにもちらつく。

「さて、飯も食べた!善は急げじゃ!旅は道連れ世は情け!新たにキョウも加えて旅を続けるとしようかの!」

 パンと打った手にノゾミの頭も我に返り、ちらついていた像が結ばれることはなかった。

「よし、じゃあ、れっつごー、って感じでいこー」

 キョウも明るくこぶしを突き上げて、旅の始まりを告げる。

「まあ、どうでもいいか」

 やけに心に残ったユウの顔も、どうでもいいことだ。さっさと振り払ってノゾミも旅の支度を始めた。

 今のノゾミに、家族などいないのだから。


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 数日間、特に異常も何もなくノゾミたちの行軍は続いた。

 キョウは五日前に“終焉の徒”から逃れ、ノゾミたちの場所に辿り着いたと言っていたが、五日以上歩いてもまだ、“終焉の徒”の痕跡のある場所にすら辿り着いていなかった。

 キョウと出会ってから八日目の夜。

「うーむ、どこかで道を間違えたりしたのかのう?」

 流石に心配になってきたユウは、焚火の周りで食事しながら皆に話しかけた。

「さー?どうだろーねー?あ、でもこの場所見覚えはあるような、無いような、そんな気がするよー。あははー」

 相も変わらず、キョウは何も考えていないかのような貼りつき続けている笑みと、人形のような口調で答える。

「キョウ。ここに見覚えがあるってほんとう?」

 とはいえ、キョウの言葉に確かに情報は含まれているので、それを聞き逃さずノゾミが尋ねた。

「もちもち、あ、こう言ったらお餅みたいだねー!そう言えばボクら、なんかもちもちした絵本見たことがある気がするなー」

 なにがおかしいのかはノゾミには分からないが、キョウはあっはっは、などと取ってつけたように笑っている。因みにノゾミの座っている向こう側ではユウが「餅」と言う単語に反応してよだれを垂らしている。

「っていうか『もちもち』ってなに」

「そりゃ、もちろんって意味だよ、え、知らない?」

「なんか面白い略し方だね」

「なんていうんだっけ、こういうの。ギャル語?」

「何それ」

「ノゾミは無知だなぁ。無知無知だよー?」

「言わんとしていることはわからなくもないけど、なんか発音がやだ」

 ノゾミとキョウはそんな掛け合いをしながら、手に持ったスパイスの効いた焦げ茶のスープのようなものを口に運ぶ。ユウ曰く、それは「かれー」という物らしい。そう言えば「救世の家」でも似たような料理を食べた記憶があった。

 現在ノゾミたちが野営しているところは、八日前とは打って変わり、一軒家や低いアパートが立ち並ぶ住宅街だった。もちろん住宅は≪終焉を告げるモノ≫の有無にかかわらず、人間たちのいなくなった建物はそこかしこがひび割れ、崩れ、内部の鉄筋を晒していた。

「うーむ、今日は、星が綺麗じゃのう」

 そんな折々、ユウが唐突にそんなことを呟いた。

「ほし?」

 思いもでなかった単語を耳にし、思わずノゾミが反応した。

「おー、ほんとだー、ノゾミー。ユウの言う通り、ここは星がよく見えるねー?」

 空には巨大な陸塊がいくつもの浮遊している。それは常に空を覆い、地上に届く光量を著しく減らしているはずだった。当然、星など見えやしない。ノゾミの半生において、星などまともに見たことはなかった。

 それでも、二人、星が見えると言った者がいたので、期待しつつ空を見上げた。


 そこには、確かに輝く星々が浮かんでいた。


 「救世の家」の近くにあった大穴の光芒とは全く違う。ユウはアレを「星」と称したが、実物は全く違った。

「……」

 ノゾミは言葉が出なかった。

 初めて見た星々は、思ったよりもはるかに暗かった。いくつもの光点が赤く、青く、輝く。それらは確かにノゾミの両眼に飛び込んできたけれども、でも、視線を動かせば一瞬でどこに行ったのかわからなくなってしまう。

 そんな、儚い光の粒を、ノゾミは目にした。

 今まで確かに空中大陸の隙間から星を見かけたことはある。でも、それらもすぐに消えてしまった。

 それが数えきれないほどいくつもある眼前の星空に、ノゾミは何も言えなくなってしまった。

 しばらく呆然とその黒々しくも輝きの広がる空を見つめるが、はたと気づいて、他の面々の様子を窺った。

 ユウはいつも通りのんべんだらりと空を見上げている。手元には、どこから取り出したのか乾燥した餅が握られていた。通常は焼いたり煮たりするであろうそれを生のまま食している。そして、キョウの方を見ると、

「あれ、キョウ、泣いてるの?」

 キョウの顔に一筋の水滴が流れ落ちていた。けれども、顔は笑顔のままだ。

「うーん、ボク?泣いてるかって?うーん、どうだろうね?ノゾミには泣いているように見えるの?」

 キョウは空から目を離さずに、意図の読めない質問を返した。とはいえ、キョウがよくわからない言葉を振るのはよくあることだ。ノゾミも特にその意味を考えることはせずに答えた。

「うん、口は笑ってるのに、泣いてるように見える」

 見たままの様子を伝えた。すると、キョウは急に大声を上げて笑い始めた。

「あっはっはっはー、あはは、は、笑いながら泣いてるだって?うん、確かにそうだねー。ノゾミはこの顔、よく見ておくといいよー」

 珍しく心底面白そうに笑いながら、ノゾミにそんなことを伝えた。

「??」

「まあ、ボクはもう少し星を見ておくから、ノゾミはボクの顔スケッチでもしててよー」

 ノゾミの首をかしげる動作に、あははー、と笑い声で返しながら、キョウはそれ以上何も言わなくなった。

 いつものことながらよくわからないキョウの理解は早々に諦め、ノゾミも空を再び仰ぎ始める。じっと見ていると、なんだか星との距離が近くなったような錯覚に落ちた。思い切って手を伸ばしてみる。

 伸ばした手は、どことなく揺らめきながら微かに瞬く星々に当然届くはずがなく、空を切った。


 そして、九日目の朝。

 ノゾミは寝袋の中で目を覚まし、眠気眼を幾分か擦ったあとに覚醒した。そして同時に、おぞましい気配と全身が総毛立つほどの鳥肌に襲われ、ぎゅっと目を瞑った。

「……っ!」

 思わず身をすくめ、震える身体を抑えようと両腕で抱く。

 しかし、この時点でもまだ、ノゾミは現状を理解していなかった。ただ、どこまでも恐ろしく、強大で、万象が逃れ得ぬナニカに掠められたという事だけは理解できた。

 そして、ゆっくりと目を開く。そこで、二度目の衝撃に襲われた。

「ぁ……」

 うまく呼吸ができず、口を開けて何とか空気を確保しようとし、それでも肺は正常に空気を取り入れられず、掠れた声だけがノゾミの喉から発せられた。


 幾重にも重なった“死”そのものが。

 歪で醜悪で、それでも正常なカタチを持った終焉が。


 昨夜まで正常だったこの大地は、滅びの象徴である赤黒い大地に成り代わっていた。

「おー、これは派手にやられたのう」

 “終焉の徒”の襲来を示すその大地の上で、白い着物の少女はいつも通りののんびりした様子で立っていた。どうやら、珍しく今日はノゾミよりも早起きしたらしいという事を頭の片隅で理解するが、それが意識に上ってくることはなかった。

「あっははー、はは、だめだね、これは」

 こちらは今起きたらしいキョウが、ノゾミの隣で身体を起こしてそんなことを言い放った。

「に、にげなきゃ……」

 死に捕捉されたという感覚を全身にひしひしと感じながら、何とかその一言を絞り出す。口ではそう言いつつも、本能はもう逃げきれないという事を悟っていた。

 このような可能性は、十分にあったのだ。目覚めればすでに“死んで”いる、という可能性は。

 いつ、どこで襲われるとも知れない。例え獣や飢餓を凌げたとしても、大規模に襲い来る“災害”には太刀打ちなどできず、どうしようもなく命を奪い取られるのだ。

 ゆえに、ノゾミは言葉とは対照的に、半ばあきらめていた。ノゾミだけではない。ユウもキョウすらも、ここで逃げ切るという事は諦めていた。

 ただ、ノゾミだけは、その死を完全に受け入れられていなかった。

 何も為せず、騙され、奪われ、ただただ無価値に死んでいく。ようやくつかんだと思ってもすべては仮初の幸福。

 何もかもが無駄だった。

 彼女はそれを痛感しながら、再度目を瞑って死を待った。そして、何も考えまいと、闇を意識する。


「うーむ、変じゃのう」

 ユウの言葉で、我に返る。

「おぉー、これは、運がいいっていうのかなー?」

 キョウもそんなことを言った。

 ノゾミは目を開けた。そこには依然として赤黒い大地が広がっている。目を瞑りたくなる衝動を抑え、立ち上がって辺りを見回した。

 なにかが足りない気がする。

 具体的に何が足りないのかはわからないが、ノゾミはそんな感想を抱いた。確かに死への恐怖があり、鋭利な刃が首にかかっているような、そんな感覚は常にあるのだが、同時にそれが振り下ろされるような、さらに死へ漸近する感覚がなかった。

「“終焉の徒”が出現せぬ」

 その答えを、ユウが放った。

 ノゾミは遠目でしかないが、≪終焉を告げるモノ≫が訪れた滅びの地を目にしている。その時に嫌というほど目にした、なんだかよくわからないソレが、今この場にはどこにもいないのだ。

 ノゾミにその現状の説明はできないが、少なくとも今すぐに死が迫っているというわけではないという事は理解できた。

 そんな状況ではないが、ひとまずほっと息を吐こうとしたとき、

「そうだ、ケイだ……ケイがいる」

 キョウが突然そんなことを言い出した。

「けい?」

 初めて聞く言葉に、ノゾミは尋ね返す、ユウの方もこっそり窺ってみたが、特にその言葉に心当たりなどはないようだ。

「あれ、ケイって言ってなかったっけー?」

 先ほど垣間見せた真剣な表情は鳴りを潜め、いつも通りの笑みを貼り付けたような顔になった。

 ノゾミが答えを返す前に、キョウは説明を始めた。

「いやー、ケイはもう一人のボクだよー。ボクの半身、離れ離れになった片割れ、みたいなやつ?そんな感じのだよー」

「えっと、つまり主の双子のもう一人がいるという事かのう?」

「そうそう」

 静かに聞いていたユウが、キョウの言葉を簡潔にまとめる。

「どこにいるのじゃ?」

「さー、どこだろー?でもどこかにいるよー」

「うむ、何のヒントにもならぬのう、では、なぜいることがわかるのじゃ?」

「うーん、なんとなく?」

「まあ、そんなことだろうとは予想しておったけれども」

 双子という物は不思議な絆で結ばれているものだ。非科学的であれど、こんな終末世界でそれが在り得ないとどうして言えよう。しかしながら、キョウの話に多少のヒントは含まれていたものの、大きく事態を変えるような情報はなかった。

「まあ、今はそんな状況ではないからのう。何が起こっているのかわからぬが、“終焉の徒”が迫っているのは確実じゃろう。この状況下になりながらも未だ出現せぬことは気がかりじゃが、とりあえずこの領域を脱することに専念しようぞ」

 キョウの双子がいようがいなかろうが、今危険に迫られているのはノゾミたちである。何をおいても自身の安全を確保しなければ、キョウの家族を捜索するのは困難だ。

 ノゾミも、頭ではそう判断したのだが。

 一刻を争う状況で、焚火やテント、寝袋の片づけを放棄し、さっさと歩き出そうとした白い着物の少女の裾を掴み、その進行を引き留めた。

 ユウは、すぐさま振り向いてノゾミの顔を覗き込む。長い前髪に半分隠されたその瞳に、ノゾミは自分の心がさらけ出されているかのような錯覚に陥る。

「……待って」

 栗色の髪の少女はそれだけ放った。それでユウは全てを察したようにうなずくと、ノゾミから視線を逸らし、歩き出そうとしていた方向を向いた。その横顔が見えなくなる寸前、口元が歪んで見えたのは、きっと見間違いだろう。

「じゃあ、キョウの双子とやらのケイを探すとしようかの」

「わかったー!」

 ユウの声に、キョウが元気よく応える。心なしいつもより元気な声に聞こえなくもない。

「それで、みんなで手分けして探すー?」

 ノゾミが尋ねようとしたことを先んじてキョウが尋ねた。ノゾミにとってもこの領域からの脱出は最優先事項だ。できるだけ短い時間で捜索を終わらせるため、手分けした方がいいという考えは浮かんでいた。しかし、この子供は、口調は年相応なのに、その行動は年齢に見合わないことが多い。

 それは、ただ賢いだけだからなのか。そんなことは、今は関係ないことである。

「この領域に足を踏み入れている時点でわしらの生存は難しかろう?ならば手分けしてできるだけ時短を心掛けた方がよい。しかし、離れすぎては、それはそれで集合に時間がかかる。それぞれが互いに目に見える範囲で捜索するとしようかのう」

 ノゾミとしても特に異論はない。ユウの言葉に納得したし、ここで口論しても時間の無駄である。ノゾミにとっての最優先事項はキョウの家族を見つけることだ。

 三人はすぐさま行動に移り、ケイの名前を呼びかけながら町を歩く。流石にのんびりとはしてられず、早歩きになる。

 赤黒い大地は、不気味なほどに挙動を見せない。“終焉の徒”が姿を見せることもなければ、そこにいる者を脅かすような歪みも見せない。

 ただ、そこにある。

 それが今のこの大地であった。また、全てが朽ち果て、崩壊し、死に絶えたわけでもなく、ところどころ元々の色を保ったままで存在している建物もあった。尤も、それらも無事なのは一部だけであるので他の部位が侵蝕されていれば、自重に耐え切れなくなり崩れ果てる定めではあるのだが。

 幾ばくか歩く。キョウの言う事には、そこまで遠くにいる感じはしないとのことだ。ヒントはそれだけ。正確性が不明瞭なそれを盲信して彼女らは探索を続ける。

 キョウの言う「近く」というのもまた、不確定的だ。ノゾミたちは先程キャンプしていた箇所を中心として、円状の領域に探索域を広げていった。

 どこまで進んでも、赤黒い大地が広がっている。それでも、“終焉の徒”が出現しないという現状に、気が緩みかける。

 誰もいない。何もいない。自分たち以外には。

 赤黒く染まった住宅街は、ただただ沈黙を守り続けていた。

「だれも、いないね」

 キョウの家族を探す合間、そんな言葉をぽつりとこぼしてしまう。その言葉は小さく呟いただけにもかかわらず、静かなこの町はそれを反響させ、僅かに木霊した。

「誰かいる、そう信じるものなのじゃろう?」

 その声が聞こえたのだろう、ユウがノゾミに話しかけてくる。

「『救世の家』でも、主は誰かいると信じて人間を探し続けていたじゃろう?同じじゃよ」

 それきりノゾミの返答を聞くこともせず、ユウは探索に戻る。

 そして、三人の呼び声だけが木霊する。

 木造か、コンクリートか、その材質が何で出来ていたのかもわからない朽ちた廃屋を曲がり、それぞれ近くにある、家であったナニカの中を探す。

 崩れてただ赤黒い板のようなものが積み重なる上を乗り越え、その先にある広場のような場所に辿り着く。遊具かなんかだったのか、独特な形をしつつも終焉の色に染まったソレは、もはや近づくことすらも厭わられる。

 なにも感じない。何も聞こえない。己の地を踏む感触と、みんなの踏み出す音以外は。

 大きく拍動を上げていた心臓は、この空間に慣れてきてしまったのか、今は何の感触もない。

 安全なわけがない。頭ではそうわかりきっているのに、何も起こらないことに感覚が慣れつつある。

 それでも、行動だけは慎重に。角を曲がるときは目だけを少しだけ出して。死角のクリアリングも忘れない。ここは死地なのだ。その意識だけはしっかり保つ。

 そんなとき、

「「あーっ!!」」

 突然二人分の叫び声が聞こえた。

 心臓が飛び跳ねる。肩がびくりと震える。何が起こったのか。誰が叫んだのか。旨く状況把握ができなくなる。

 やはり、思わず気が緩んでしまっていたのかもしれない。そう自認する。

 しかし、他の人はどうであったか。

「おー、見つかったのかの、キョウ!」

 少なくともユウはしっかり状況を把握していた。

「よし、ならばさっさとここから脱するぞ」

 そして、すぐさま次の行動に移ろうとした。

 この辺りに来るとノゾミも流石に状況を呑み込めた。見ると、アパートらしき少し高い多層の建物の下に、キョウともう一人、よく似た、どころか全く同じ顔をした子供が抱き合って喜んでいる。

 それを見て、ノゾミの心も嬉しくなる。

 すぐに近づくと、

「その、あなたがケイ?」

 と、一応確認を取ってみる。無意味であることはわかっているけれども、やはり人間という物は実感を抱くきっかけが欲しくなるものなのだ。

「そうそう、ボクがケイ」

「そして、ボクがキョウ」

「やっと会えたよー、キョウー」

「そうだねー、ケイー」

「あれ、ボクがキョウだったっけ?」

「うーん、ボクがキョウだったかもしれない」

「まあいっか、あははー」

「どっちでも、あははー」

「「ボクらがキョウで、ボクらがケイだよ」」

 双子だからなのか、二人は息がぴったりの様子で答える。笑い声すらもぴったりである。全く同じ顔が二つ並んでいるため、ノゾミにはどちらがキョウで、どちらがケイなのか分からなかった。そして、双子自身もどちらがどちらでもいいようである。しかし、双子が出会えたというのは確かだった。

「その、それで、他の家族、お父さん、お母さんは?」

 少し遠慮がちに尋ねてみる。辺りを見ても、そのような大人の人間はいない。これが何を意味するか。

「それはねー……」

 その時だった。

「ノゾミっ!」

 ユウの聞き慣れた声を最後に、


 歪で、壊れた、認識不能のナニカに呑まれた。


 壊れた、毀れた、こわれた、コワレタ。


 感覚が歪む。視界が白む。

 世界が穿たれる。


 痛くていたくてイタクテ、やっぱり痛い。

 愉しい、寂しい、嫌い、愛しい、いつまでも一緒。


 伽藍洞、虚無、空ろ。


 誰誰誰誰誰──


 私わたしあたし我わしボク此方オレ私はナニ──?


 自己は霧散し、世界は朽ちて、もう何も残らない。


 その時、


──逆転した世界は歪み、なれど歪んでいた世界はさらに歪むか、矯められるか。

──反転したあまねくを正して見せよう。

──その銀色は、全てを映す。


 歌が、聞こえた。


 ノゾミは覚醒した。

「大丈夫かの、ノゾミ?」

 いつの間にか倒れたのか、その身体はユウの両手に抱かれていた。

「……ぁ」

 今まで見ていたものが何か、ノゾミには全く理解できず、いや、脳がそれを理解することを拒んでいた。

 ただ、ノゾミは理解を越えた何かを覗いた気がして、全身に力が入らず、ただ体を震わせていた。

 この場に、歌の余韻が響いている。

 それに耳を傾けると、身体の震えも収まってきた。

「主ら、今のは?」

 ユウが鋭い声色で尋ねる。その視線は双子を射抜いていた。それはまるで、その双子を激しく警戒しているようだった。しかし、同時に口角がほんのわずかに上がってもいた。すぐそばのノゾミでも気づかないくらいほんの僅かに。

「「ひ、み、つ」」

 ぴったり息を合わせて双子は答える。

「ボクらはただ」

「ノゾミが“終焉の徒”に呑まれたから」

「存在が消えてしまう前に」

「世界から消される前に」

「「ノゾミを助けようとしただけだよー」」

 双子は向かい合い、両手を繋ぎ合っていた。お互いに握り合わされた両手の、その隙間からは銀色の光が漏れ出ていた。

「普通はこんなことしないけどね」

「今回は特別だよ」

「「ノゾミはボクらの家族を探すことを、優先してくれたから」」

 双子は片方の手を離し、同じタイミングで唇に人差し指を添える。見た目は幼いものの、その仕草にはどこか妖艶さが感じられる。


 辺りの地面がほんのわずかに湧きたっていた。まるで、ナニカが産まれ出ようとでもいうように。

 胎動する終焉の大地は、幾匹もの終末を内包した子宮だった。


「できればついていきたかったけど」

「流石にここまでだねー」

「ボクらはまだ家族を探したいしね」

「仮でも大切な家族だよ、はぐれちゃったけど」

 双子に境は存在しない。二人で一人の如く話を繋げる。

 そんな双子を前に、ユウはノゾミを抱いたまま口を開いた。ノゾミはまだぐったりした様子で、動けそうにない。力を籠めれば指先くらいは動かせそうだが、逆に言えばその程度だ。

「のう、キョウとケイよ。主らは、どれ・・じゃ?」

 その問いに双子は答えず、意味深に笑みを浮かべて、別の言葉を発した。

「さあ、時間切れになる前に」

「ボクらももうだめかもしれないし」

「急いで行って」

「早く行かなきゃ」

「次は助けないよ」

「というか助けられないかなー」

「「ボクらがナニ・・であろうと、ユウのすることは変わらないよね?」」

 それが、答えなのだろう。ユウも悠長にしている暇はないと判断したのか、ノゾミはユウに担ぎなおされ、ボストンバッグと共に背中に負ぶわれる形になる。

「そうじゃの……ただ、これだけは受け取っても損はないぞ?」

「「えー、なになに?」」

 ユウは双子に背を向け、去ろうとしながらも最後に声を掛ける。双子は見た目相応に興味を示した。

「うむ、ノゾミを助けてくれてありがとう。わしも主らの幸を願おう」

 その言葉に、双子からすぐに茶化すような応えが返ってくるかと思いきや、双子は見るからに狼狽していた。ユウはすでに歩き出しているため、その姿は見えていないだろう。背負われているノゾミだけが顔をわずかに動かし、それを見た。

 双子は目を見開いて硬直した後、お互いに顔を見合わせた。そして去り行くユウの背中を見て、もう一度お互いに顔を見る。

「もー、急にそんなこと言うなー!」

「そんな素振りなかったじゃん!」

「「……まあ、でも、次逢うときは、一緒に旅しようね」」

 幼い双子の顔は、貼り付けたように、しかし明るく笑っていた。


 最後にその姿は、“終焉の徒”に呑まれて消えた。

 終末世界は、いつだって誰かの犠牲を必要としているのだ。

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