第7話 呪いを解く方法

 明くる日、屋敷にトンカが訪れた。どうやら呪いを解く方法がわかったらしい。

 トンカは魔物に関する資料をルッコたちに見せながら説明する。

「方法はいくつかあるようだが、ルッコの場合は誰かと愛し愛される関係になるのがいいかもしれないな」

 カルダはトンカの話を聞いて不思議な感覚に囚われた。ルッコが誰かと相思相愛になる。その意味がわからないわけではない。

 ルッコは次期領主であるのだから、いずれは誰かと結婚して愛し合い、子どもを儲けるだろう。そんなことは今さら考えるまでもないことだ。ずっとわかっていたことなのに何故だろう。他人に改めて言われると、衣服の隙間から胸の内の奥まで僅かに風が吹き抜けるような感覚がした。

「それは結構難しいんじゃないかな?」

 ルッコの言葉でカルダは我にかえる。

「何を言う。ルッコならすぐにでもいけるだろう?」

 トンカは不思議そうな表情でそう言った。

 トンカの言葉をカルダは謎の不安に襲われる。マードとレカは縁談で結婚した。ということはルッコも同じように縁談で結婚するのではなかろうか。

 カルダは頭の上に乗せているはずのルッコがどこか遠くにいるような気さえしてくる。自分が今どんな顔をしているのはカルダにはわからなかった。

 叔父の言っている言葉の意味がわからず困惑するルッコと彼の言葉で不安に駆られるカルダ。

 二人の様子を見たトンカも何やら考え込んでしまった。

「マードにも相談してみるか」

 トンカがそう言ったのを最後に、結局その日はそれ以上呪いに関する話題は上がらなかった。

 トンカが去った後、カルダは改めて疑問が浮かぶ。

 カルダ自身がルッコに想いを寄せているのは間違いない。ではルッコはどうなのだろう。真面目で浮いた話も聞かない彼に意中の相手などいるのだろうか。

 それとも縁談などがあればその相手と結婚するつもりでいるのだろうか。

 一度浮かんだ疑問はなかなかカルダの頭から離れない。

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