第2話

「おい、さっさと荷物を降ろせ!」


「わ、わかりました!」


どうやら僕の乗った?載った?馬車は

男2人組の案内付きだったらしい。


ガチャガチャ


「おい!さっさとしろ!」


ドカッ!


うわー、殴られている。一方が上司なのか?


「あ、開けました!」


「開けました!じゃねーよ!

さっさと荷物を降ろせって言ってんだろ!

トロトロしてっとお前も奴隷にすんぞ!」


「ひ、ひぃぃー」


「丁寧に降ろしな!一応商品なんだからよ!」


コツコツコツ  


「ふんっ! …はぁはぁはぁ…」


そうか、1人ずつ木箱に入れられて運ばれているんだな。

しかも奴隷って言葉…。

考えたくなかったけど、僕が刺されてからのことも考えると、僕って人身売買にあってるのかな?


「そんなわけないでしょ!

あなたにとって異世界転生よ!」


「うわぁ!」


「静かに!奴隷商人に聞こえるでしょ?」


「なんだ?今の声!まさか、もう起きたのか!さっさと降ろせ!奴隷どもが暴れたら大変だ!」


「ほら!静かにしないから気づかれたじゃない!」


そう言っては、女の人が僕から遠ざかっていく気配がしたので思わず、


「待って待って!置いてかないで!」


「やっぱり起きてやがる!もう適当でもいいからとにかく降ろせ!」


「わ、わかりました!」


僕が叫んだことで、男たちの荷下ろしの速度が上がったようだ。


「もう!いい加減にしてよ!せっかく魔法を使って転移しようとしたのに!

今ので、初めから掛け直しじゃない!…きゃ!」


ドスッ!


「テスター様!ここに木箱に入ってない女がいました!気絶させましたがどうしましょうか?」


「何?木箱に入ってない奴だと…。お前は…。奴隷の管理もまともに出来んのか!

このクズが!死ね!

『アイスニードル!』」


「お助けを!テスター様!」


ぶしゅ


うわっ!箱越しでも音や血の匂いが…

さっきから自分の血や奴隷商人Aの血とか…。

勘弁してほしい。

ってか、僕のせいで女の人、気絶したみたいだし悪いことしたな…。

これからどうなるんだろう。


「…っち!役立たずが!

『出でよ。サンドゴーレム』

サンドゴーレム、さっさと箱を降ろして洞窟に運べ!

ついでに、その女も空き箱にでも詰めておけ!」


洞窟行きらしい…。名前を知らないから奴隷商人AとするがAはテスター様とやらに殺されたし、テスター様とやらは短気らしい。

静かにしていよう。

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