ダンジョン経営って難しいですね。

しぇからしか

異世界転生って痛いんですね。

第1話

「……はっ!……」


ここは…どこだ?


がたんがたん…がたんがたん…


目の前は暗い、そして動けない。

というより、縛られている。

豚の丸焼きを想像してほしい。

手足がそれぞれまとめて縛られているのだ。

そして、体に当たるこの周囲の硬さや形、

このがたんがたんという音。

僕は今、馬車の木箱に詰められてどこかに運ばれているのだと推測できる。


「はぁー。一体何がどうなっているんだ?」


がたんがたん…がたんがたん…


しばらくはこの状態が続くだろうから何が起こったのか振り返ってみる。





私の名前は柏木宏太。

高校2年生の男子学生だった。


いつものように、8時には高校に着くように通学路の国道沿いを歩いていた。

この道は国道だから学校や会社に向かう人たちでいつも溢れかえっている。

今日は1限目が体育かと考えていると、

突然後ろから

「ドスッ…ドスッ」

と音が聞こえた。


「……っあ?…あ。」


突然のことで何が起きたのか分からなかったが、足に力が入らず前のめりに倒れると、

ようやく自分が刺されたことに気づいた。

腹部から顔にかけて温かい血で包まれた感覚になる。


重傷になってみると分かる。こういうときって声が出ない。

痛みももはや感じられない。足や手の感覚もなく自分の命があと僅かしかないことを察してしまう。


僕が倒れると、周りにいた人が

「あぁーーーー!」

と叫んでは、騒がしくなっていた。


僕の真後ろにいた人は、人混みをかき分けて

前へと走っていき、遠ざかっていった。


紺色のパーカーに、白のスウェット。

黒のスニーカー。

あれが僕を刺した奴だな。あいつは僕とそこまで歳は変わらないのかな?

なんて服装で犯人の歳を考えてしまう。

あぁ、さっきまでは目を開けていられたのだが、もう限界だ。


目を閉じてしまうと、周りの音がより鮮明に聞こえてきた。「救急車呼べ!」「警察ですか?今、国道で!」というような言葉が僕の耳にも飛び込んできた。



「あぁ、なんで僕が……」


意識も無くなっていく中で、最期に考えてしまう。




で、気がつけば手足が縛られているこの状況。一体さっきから何なのだろうか?

僕が何かしただろうか?

いや、何もしてないはずだ。

物思いに耽っていると、どうやら馬車が停まったようだ。

さて、一体何が起こるのやら…

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