動画配信⑦
「もう~どうして避けるんだ一狼。お姉ちゃんが抱き付いてあげるのに。」
「そんなこと言って、そのまま俺のこと押し倒すんじゃないの?」
「え?」
「え?」
布団を両手に構えながら、俺は目の前に現れた姉に疑問を浮かべる。
え?
確か、俺のこと押し倒したよねさっき。
しかも、押し倒しただけでなく俺の貞操まで奪おうとしてきたよな。あの時は本当に俺の貞操が奪われるかもと寒気感じたんだぞ?
まぁ、原因は俺が悪戯したからだけど。
俺を襲った記憶の無い姉に首を傾げると、姉は興奮した様子で口を開いた。
「ん?もしかして、一狼は私に押し倒されることを妄想してそんな言葉を…………よし、お姉ちゃんの部屋に行こうか一狼。今日はお姉ちゃんの部屋で寝よう。」
「いやいや。お姉ちゃんも疲れてるでしょ。一人でゆっくり寝てよ。」
「お姉ちゃんの心配なんてしなくていいぞ!!さあ、早く行こう。」
「そんなこと無いから。ちょっと、落ち着いて。」
家に帰った時と似たような展開を感じ取った一狼は、姉の考えを改めさせようと奮起する。部屋に置いてあるリラックス成分の入っているスプレー缶を姉の足元近くに掛けたり、二番目にリラックス効果のある色と言われている青色のクッションを姉の目の前に見せる。しかし、そんな一狼の行動は意味もなくどんどん扉から桜は一狼に近付いていく。
そんな姉の桜だが、勿論一狼を襲った記憶などか無いことから、一狼の言葉から「一狼は私に襲われることを妄想している」と推測する。桜としては、思ってもない理想。というより、全女性の望みと言ってもいいだろう。近くに居るだけで惚れそうな男である一狼に、自分の体で妄想されたのだ。妄想ではなく、実際に起こったことにしようと、女性としての本能が彼女を動かすのは仕方の無いことだ。
「何かお姉ちゃん勘違いしてるっていうか、さっきやったこと覚えてないの?」
「さっきって何のことだ?家に帰ってからの記憶が無いけど、もしかしてそのことか?」
純粋に疑問を浮かべる姉から、ある一つの考えを導き出す。
もしかして、お姉ちゃんは俺を襲ったことを覚えてない?
お姉ちゃんの言う『家に帰ってからの記憶がない』という言葉から察すると、お姉ちゃんは俺を押し倒したことや俺がキスをしたことが記憶に残っていないことになる。俺を襲ったことや俺が仕方なくしたキスを忘れてくれたのは、お姉ちゃんに顔を赤くしたりせずいつも通り接することが出来るようになるから良いけど、どうして今回は悪戯をしていないのに、襲うという考えが直ぐ出てくるんだ。
近付いてくる姉の足元に、 寒気から枕を投げるが全然怯まない。
くそ、手強い敵だ。素材が柔らかいから結構強く投げたつもりだが、姉の細くて柔らかそうな足は全くといって怯まない。見た目は可憐で耐久力なんて無さそうに見える弱点なのに、どうして効かないんだよ。超乱闘でいうアーマーでも付いているのか?冗談じゃないぞ。
俺は再び枕を拾って、姉に投げる。
しかし、姉は怯む様子も無く今度は俺の枕をキャッチして、俺を怯ませようと枕を投げてくる。
枕とはいえ、結構痛い。その細い腕のどこからそんな力が出てくるというのだ。素材は柔らかいというのに………お姉ちゃん強すぎだろ。超乱闘に出てくる桃色をしたお姫様が居るが、いつも大きな亀に拐われているのに、超乱闘だとかなり強いのと同じ謎原理か?
お姉ちゃんと枕投げをしながら部屋中を逃げること数分。
どたばたという音を見にきたお母さんが俺の部屋にやって来たことで、お姉ちゃんからの逃走は幕を閉じた。
え?
お姉ちゃんはどうしたって?
俺を追いかけてたお姉ちゃんは、お母さんが顔面に枕を投げつけたことで
絶体に逆らってはいけない人を、俺は理解した。
その後はお母さんを膝の上に乗せて、一緒にリビングでテレビ鑑賞。俺の膝に乗ることが相当嬉しいのか、俺の膝に乗るまでの間犬が尻尾を振るように腰を振って歩いていた。
その後お母さんが満足するまで俺は、一緒にテレビ鑑賞をした。
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