魔法少女、変身

「すみません、俺と仲間になってくれませんか?」

通りず狩りの美少女たちに声をかける。

笑顔で返事をしてくれた。

「お荷物さんとは組めません!」

俺が魔法を使えないということは、誰もが知っている。

それだけ珍しくて、有名な存在らしい。

「俺と…」

「俺と…」

50戦0勝

仲間になってくれる人はいなかった。

腹も減った。

でもお金がないから食べれない。

精神的に、依頼を受ける気力もない。

そんな時

「ねえ、あなた、困っているのです?」

茶色のロングヘアを下ろしている美しい大人な女性が声をかけてきたのだ。

(これはチャンス!!)

「仲間になってくれる人を探しているんです」

「わたしでよければ」

今までの苦労がいっしゅんで吹っ飛びそうなくらいの歓喜!!

グーと腹の音がそこに響いた。

「パンでも食べます?」

女神の様なやさしさ!!

「いただきます!!」

美女にごちそうされるパンは、本当にうまかった。


丁度食べ終わった頃、茶髪ロングの美女が口を開いた。

「そういえば、まだ自己紹介、していませんでしたわね。

ロベリアって呼んでくださる?レインさん」

「おれのなまえしっていたんですか!?」

美女に名前を覚えてもらっていたことがうれしくて仕方がなかった。

「だって、レインさん有名ですもの」

「あーはは…」

苦笑いしかできなかった。

無能で有名…か。


「それで、いまから、冒険の依頼でも、受けに行きません?」

と願ってもみなかった唐突なお誘い!!

「いいですね」

快諾しない理由はなかった。


この時俺は舞い上がっていた。

初心者冒険者には少し難易度が高い。

それでも、俺はロベリアに流されるままにその依頼を受けに行った。

ウルフの討伐依頼だった。

  

「ちょっと不安かな?」

ロベリアさんの優しい気づかいが身に染みる。

そして、お色気むんむんだ。


「ちょっと不安です。でも頑張ります!」

「私が付いているから安心して」

ロベリアさんの頼もしさと、優しさに身をゆだねてしまいそうだ。



「オォーン グルルル」

モンスターの咆哮が聞こえてくる。

「行くわよっ」

ロベリアさんの掛け声で、ウルフに切りかかる。

軽々と俺の一撃は交わされた。


「ロベリアさん!!逃げt…」

さっきまでいたはずのロベリアさんの姿はなくなっていた。

辺りを見回しても、彼女は忽然と姿を消していた。

美女が、俺に手を差し伸べてくれることなんてありえない話だったんだ。



 一人取り残された俺は、ウルフ7体と1:7で戦うことになってしまった。

到底勝てそうんにないウルフとの闘い。

俺は、何を舞い上がっていたのだろうか。

後悔の念と恐怖、そして突如いなくなったロベリアへのいやな感情が芽生えた。


「ぐはっ」

ウルフの一撃は俺に致命傷を与えた。

それでも、おれは、死にたくなかった。

自分の判断ミスが今起きていることの原因だ。

あらゆる負の感情が入り交ざり、俺は爆発した。


「クソーーーーー」

だが、ロベリア、俺にパンを与えたことを公開させてやる。

もうここで、俺を死なせるはずだったんだろうがそうはいかない!!

ウルフに負わされた致命傷の痛みは、ロベリアへの完ぺきな憎しみ変わった。


次の瞬間俺の体は真っ黒な闇に包まれた。

この感じ…

あるはずのない力がみなぎってきた。

力を手に持つ杖へ集中させ、気持ちを解き放った。

「消えろーーーーーーーー」

辺りはさらなる闇に包まれ、その黒い霧が消えたあとは、ウルフの姿はもうなかった。

跡形もなく消え去ってしまったのだった。

 

そして俺はその場で、倒れこんでしまったのだった。

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冒険者、魔法少女? ひるねま @choppy321

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