世界からの拒絶

 「こっちに来ないで」

…はは、笑わせてくれるね。まさか同じ反応をするとは思わないだろう?淡い期待を抱いた僕は馬鹿だ、本当に苛立たしい。

命令を聞かない者は即処分する。それは煙となり、灰へ姿を変えるのが自然の摂理。


「消散せよ」


その存在を抹消される程の事だ、何か思い当たる節は無いかい?

判らないとはふざけるな。物事の善悪から目を背けるなと言っている。

「ご覧ください。文字通り人間のちりです」

会場の時間が止まった。場の雰囲気に溶け込んでいた女性が瞬時に塵へ変化する。

人々の凍り付いた表情、息を呑む様子。我に返って騒ぐ者。

ああ面白い。この状況は何度見ても飽きないよ。


変な妄想はよしてくれ。これを見る為だけに移動している訳ではないのだから。

仕事の都合上、あの女と別世界でも接点が在るのだが、現在は人当たりが良い性格の彼女は誕生していない。


本人には内密にしておいてくれ。

もうここに用はなーい。

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